アウトプット
顧客ステップ
告効果測定サービスのアウトプットでは、商品・サービスの購入・利用に至るまでのステップを分解し、ステップ毎に増減を分析します。事前と事後の2回に分けて調査することで、広告出稿の前後での変化を分析します。
ここでは、広告(各メディア)に触れているかどうかは関係なく、全体としての動きを確認します。
上のグラフでは、購入意向について「ぜひ買いたい」または「買いたい」と回答した人の割合を「購入意向TOP2」、「ぜひ買いたい」の人の割合を「購入意向TOP1」と定義します。顧客ステップについては、扱っている商材・サービスにあわせて自由に設定できます。
また、競合商品との比較も可能なだけでなく、前回の数字などと比較して時系列の定点調査として活用することもできます。
次に、この顧客ステップのデータとメディア接触データを掛け合わせることで、広告がどの顧客ステップに効果的だったのかを分析します。
継続率と転向率
事前・事後で購入意向の水準が同じでも、実際には転向(=ポジティブに変化)した人と離脱(=ネガティブに変化)した人がいます。シングルソースデータの特長を活かして、転向/離脱、転向率/維持率(1-離脱率)を算出できます。
一般的に、広告の役割は買う意向のない人を「買いたい」へいかに態度変容させるかという“転向率”を意識することが多いですが、たとえばTOPシェアブランドであれば、離脱を抑えるために継続率を意識するなど、注目するポイントはブランドや商品によって異なります。
もちろん、競合との比較による自社製品の状況確認やセグメント別の評価、さらに時系列データを蓄積することによるアラートチェックなど、幅広い場面で活用できます。
メディア接触状況
各メディアの広告がどのような接触状況になっているのかを把握するのが、メディア接触状況です。広告の認知ではなく、あくまで生活者の行動データから、メディア毎に設定した定義を満たした人数を集計します。
調査対象となる主な施策は、以下のとおりです(記載の無い施策についても直接、接触状況を確認することで分析可能です)。
- 広告
テレビ(地上波、BS波)、雑誌、新聞、PCバナー、交通(電車)、屋外 ※ラジオ、シネアド、スマホバナーなどは、直接、接触状況を確認します
- PR
テレビ番組、雑誌記事、新聞記事、Web記事
- サイト接触
自社サイト、キャンペーンサイト、ポータルサイト等 ※スマホサイト、動画サイト、SNS系については、直接、接触状況を確認します
- 店頭施策
什器、POP、特別陳列等
- 配布物
サンプリング、チラシ、DM等
- キャンペーン
マストバイキャンペーン、オープンキャンペーン等 イベント出展、協賛
広告効果(メディア別)
広告の効果については、全数だけでなくセグメント別にどの層に効果があったのかを把握することもできます。効果があったセグメントを特定することで、今回の施策の目的が達成されたかを確認しやすくなります。
代表的なセグメントは以下のとおりです。
(記載の無いセグメントについても、商材の特徴に合わせて独自のセグメント質問を設けることができます)
- デモグラフィック
- 男性20代/男性30代…
- M1/M2…
- カテゴリユーザー
- その商品の購入者
- そのサービスの利用者
- 自社利用有無
- 自社ユーザー/他社ユーザー
広告効果(効果指標別)
効果指標(目標関数)は、該当する広告の目的や役割に応じて設定します。効果指標については、NRIにて蓄積している幅広い実績を踏まえ、提案いたしますが、独自の項目を設定することも可能です。
代表的な効果指標は以下のとおりです。
- 商品の顧客ステップ
認知(助成)、購入/利用意向、購入/利用、複数購入/利用 純粋想起、第一想起、検索意向、許容、店頭接触、店頭品定め 等
- 企業の顧客ステップ
認知、業態認知(詳細認知)、企業好意度、企業関心度、就職/転職意向 等
- イメージ
商品イメージ/企業イメージ 等
テレビCM広告認知率(接触回数別)
広告認知(クリエイティブ認知)についても調査、分析します。ただ、単なる認知率では出稿量に依存しやすいため、本来の「覚えやすさ」を評価するのに「10Freq認知率」という指標を用います。
これは、テレビCMに10回接触した人だけを抜き出し、認知率を集計するもので、前回と時系列で比較することはもちろん、NRIが持つノルム(すべての平均値)と比較することで、クリエイティブそのものの本来の「覚えやすさ」が捉えられるのです。
また、10Freq認知率以外にも、このグラフから読み解けることがあります。
例えば、10Freq認知が低くても、20Freq認知が高い場合には、インパクトはないが何度も繰り返し接触させれば覚えてもらえるということになりますし、前回と同じクリエイティブを流した際、低Freqでの数字に積み上げがなければ、ほぼ記憶がなくなっている(蓄積がない)ということが把握できるのです。
広告効果(接触回数別)
テレビCM広告認知率を、接触回数別に分析したのと同様、購入意向などの顧客ステップについても、接触回数別に評価することができます。
グラフを見ると、購入意向が飽和するポイントがわかりますので、今回の出稿量が多すぎたのか、足りなかったのかが推定できます。
上記のグラフを見ると、CM認知率は接触回数に応じて伸びるものの、購入意向TOP2、TOP1は、おおよそ10~14回で頭打ちになっており、出稿量としてはオーバー気味であったことがわかります
各メディア比較と総効果
メディア別に、接触者での創出効果(差分の差分)と、リーチ(メディアに接触した割合)の状況を一覧で捉えます。次にこれらを掛け合わせることにより全体への影響(総効果)を算出します。さらに、この総効果に、アンケート対象者の母数を掛け合わせることで、この期間に該当するメディアの広告において、購入意向を“新たに”生みだした人数を算定できるのです。
また、各メディアの出稿コストで割り算をすることで、一人の購入意向を創出するのに必要な費用(ROI)がわかります。今後の出稿を検討する際、メディアの効率性や到達リーチ、クロスメディアによる影響なども考慮し、最終的な出稿の配分を検討します。
クロスメディアの効果
複数のメディアで展開した際の広告効果を分析します。
まず、クロスメディアの接触分布を捉えます。正確に捉えるためには、1)広告認知(クリエイティブ)ではなく、実際の接触状況から算出すること。2)ソースをメディアごとにとるのではなく、同じモニタから集めること。の2点が重要です。
その後、各象限でどのような効果があったのかを、事前、事後の差を取ることで評価します。
クロスメディア接触により目標変数が高まっているのか、それとも極力リーチを広げるために重なりは少なくなっているのか、など、目的どおりに各メディアが機能したのかを捉えることが可能です。
また、クロスメディアの分析は、メディア毎だけではなく、広告×PRで分析したり、素材別(商品広告×ブランド広告)で分析することも可能です。
ブランドイメージ
ブランドイメージの向上が、広告出稿の目的のひとつになる場合もあります。イメージについても、事前と事後の2回に分けて調査するため広告出稿の前後での変化を分析できます。競合商品と比較することで、自社の商品・サービスの強みとなるイメージを把握することも可能です。
ブランドイメージの購入意向への影響
生活者は、商品や企業に対し様々なイメージを保持しています。企業は様々な狙いのもと広告活動を展開しますが、購入意向を狙いとした場合、どの項目が重要なのかを捉えます。
横軸にイメージの保有率、縦軸にそのイメージを保有する人の購入意向をプロットします。左にプロットされるのは特異な項目であり、右にいけばいくほど一般に浸透しているイメージのため、購入意向は右肩下がりの曲線になる傾向にあります。
これらを比較するため有意曲線(等高線のようなもの)を引くと、その曲線より上にあるものが、購入意向に影響のあるイメージ項目と捉えることができるのです。
上記の場合、デザインよりも、信頼性のイメージのほうが、購入意向に影響していることがわかります。
ブランドイメージのメディア別浸透率
広告で訴求したメッセージがどの程度届いているのかを捉えることも、効果測定には重要な要素です。キャッチコピーやタレント名、製品の機能や特徴など、広告の構成要素別に認知率を捉えます。前回値と比較したり、NRIのノルム値と比較することも可能です。
メッセージの購入意向への影響
続いて、どのメッセージが購入意向に影響しているのかを捉えます。
分析には、メディア別の分析と同じ“差分の差分”手法を利用します。
各メッセージを知っている人の購入意向の事前と事後の差、と知らない人の差を比べることで、どのメッセージが意向を押し上げているのか、相対的に比較できます。メディアへの接触-非接触を、メッセージの認知-非認知で置き換えたものになります。
この事例では、味が変化したことだけではなく、「素材」や「製法」までが伝わることでと購入意向が高まることが分かります。そのため次のクリエイティブには、製法の訴求を強くするかどうかを検討することになるのです。
メッセージのメディア別認知率
イメージ同様、どのメディアがメッセージを認知することに繋がったのかを把握します。先ほど抽出した購入意向に繋がるメッセージが、狙ったメディアで認知されているか。されていない場合は、クリエイティブ再検討か、別のメディアを用いてクロスメディアで展開するなど、戦略の見直しに活用します。
まとめと今後への示唆
最後に全体のまとめです。今回の施策が一覧で理解できること、さらに今後への示唆を項目別に明確に表記することで、PDCAの構築に活用いただけます。
まとめについては、上記のような標準パターンだけではなく、各社のご要望に併せて、経営説明向けサマリー版や制作向け評価資料など、ご提供いたしますので、ご相談ください。