Marketing Analysis Contest

マーケティング分析コンテスト

2024

審査結果・レポート公開中

2024年審査会レポート

マーケティング分析コンテスト2024 詳報

さまざまな視点から生活者の購買要因を掘り下げてデータを分析し、斬新なビジネスの法則や新しいマーケティング指標等の発見を競う「マーケティング分析コンテスト2024」の最終審査会が2024年12月13日、野村総合研究所本社にて開催された。18度目の開催となった今回は、101件のレポートが集まり、予備審査を通過した優秀な作品に対する激論の審査会となった。

第18回目を迎えた今回も例年どおりニュースリリースを中心とし、コンテストへの参加を募った。レポート提出は101件となり、引き続き数多くのご応募をいただくことができた。企業が単独で行う広告・マーケティング領域でのコンテストとしては、国内最大級であるといえよう。

今年の特徴は、ChatGPTなどの生成AIを活用してデータ分析を進めている論文が増えた印象。その中で、面白い課題に着眼し、丁寧かつ且つ分かりやすい分析結果、またその結果がマーケティング実務に汎用の可能性があるかが、評価ポイントとなった、との声も挙がった。

今回も例年どおり11月中旬から6人の審査員による予備審査が行われ、最終審査作品を選定した。最終審査会では1作品ずつ丁寧に議論がなされ、「仮説構築や着眼点がユニーク」「分析結果に対する考察が優れている」「分析手法のフローと論文の完成度が高い」などの観点から、多面的に議論した上で、各賞を決定した。最終的に今回は最優秀賞1作品、優秀賞2作品の計3作品を選定となった。

最優秀賞には、同志社大学大学院 文化情報学研究科 統計科学研究室 井上 聖士氏による「CM帯がTVCMの広告効果に及ぼす影響」が選出された。CM帯という概念は今までのコンテストの中では初めてで、オリジナリティーのある良い視点で、分析対象の絞り込みなどのデータ整備でChatGPTとGeminiを活用したり、アンケート無回答部分のデータを補う作業もされていたりデータの加工が丁寧であった」と評価された。

優秀賞は、福岡女子大学 国際文理学部 木下 鳳香氏と野嵜 未夢氏による「携帯キャリアにおけるプラットフォーム単位のテレビCM戦略の提案」が選出された。ポイント経済圏への『囲い込み度』という指標を作成している点に独自性があり、先行研究から丁寧に課題を導出している点、仮説を丹念に検証している点が評価された。

優秀賞2作品目は、 株式会社 ADK マーケティング・ソリューションズ マーケティングインテリジェンス本部 データストラテジスト局 狩野 陽輝氏、中野 すずか氏、平山 耕太郎氏による「信頼財から見るTV番組内容がCMに与えるプライミング効果の検証」が選出された。ニュース番組経由でクレジットカードのCMに接した人のCM効果』という視点が興味深く、分析結果も示唆に富む。

審査会終了後、各審査員からは「本年度は、データの分析スキルだけでなく、着眼点の独自性やマーケティングの施策に活用できそうな汎用性があるか、が評価ポイントになった」と、総括した。

「マーケティング分析コンテスト2024」各賞受賞作品(敬称略)

Grand Prize

最優秀賞

  • 「CM帯がTVCMの広告効果に及ぼす影響」

    同志社大学大学院 文化情報学研究科 統計科学研究室 井上 聖士

「CM帯という概念は今までのコンテストの中では初めてで、オリジナリティーのある良い視点。分析対象の絞り込みなどのデータ整備でChatGPTとGeminiを活用したり、アンケート無回答の欠損値補完 アンケート無回答部分のデータを補う作業もされていたりデータの加工が丁寧であった」

「実務への応用を意識した考察や追加検証も説得力を高めている」

First Prize

優秀賞

  • 「携帯キャリアにおける
    プラットフォーム単位のテレビCM戦略の提案」

    福岡女子大学 国際文理学部 木下 鳳香 野嵜 未夢

審査員コメント

「キャリア契約から派生したプラットフォームでの契約という視点で分析した点が、データを増やして分析の精度を上げる意味でも、現実を考える実務に活用する上でも意義深いと感じる」

「ポイント経済圏への『囲い込み度』という指標を作成している点に独自性があり、先行研究から丁寧に課題を導出している点、仮説を丹念に検証している点がよい」

First Prize

優秀賞

  • 「信頼財から見るTV番組内容がCMに与えるプライミング効果の検証」

    株式会社 ADK マーケティング・ソリューションズ
    マーケティングインテリジェンス本部データストラテジスト局
    狩野 陽輝 中野 すずか 平山 耕太郎

審査員コメント

CMによる効果の規模を表す「『CM効果量 』の作成が精緻でデータ加工や分析過程の説明も丁寧で分かりやすい。分析対象を銀行とクレジットカードに絞っていることで結果がクリアになっている上に結果の解釈も納得性が高い」

「『ニュース番組経由でクレジットカードのCMに接した人のCM効果』という視点が興味深く、分析結果も示唆に富む」

最終候補作品

  • 「低ランク性に基づくテンソル補完による欠損値処理の実装と知見」

    長崎大学 情報データ科学部 呉 哲

  • 「ウェルビーイングはマーケティングに幸福をもたらすのか」

    東京理科大学 経営学部 磯部 将吾

  • 「タイパ重視社会におけるテレビCMの広告効果分析」

    広島大学 経済学部経済学科 林 優馬

  • 「時間軸と価値観から探る広告効果と特徴量の関係」

    専修大学 商学部 鍵谷 理太朗

  • 「利用者の「好み」を捉えた動画配信サービスの駅広告の最適化」

    青山学院大学 経営学部 藤岡 大渡

  • 「ベイジアンネットワークを用いたアサヒスーパードライCM出稿の最適化」

    明治学院大学 心理学部 石川 大翔

  • 「クリエイティブ特性とブランド特性が
    広告内部/外部効果へもたらす影響の推定」

    法政大学 経営学部 村上 陽一

  • 「購買行動をもとにしたBigFive性格特性スコアの予測モデル作成」

    名古屋大学 大学院 環境学研究科 芦田 結菜

  • 「広告運用における即時的なデータを用いた
    生活者インサイトの予測とクリエイティブ最適化」

    青山学院大学 経営学部 吉川 洸

  • 「消費者態度・行動の悪化に着目したテレビ広告クリエイティブの提案」

    福岡女子大学 国際文理学部 小石 紗矢香

  • 「マルチモーダル分析とハイブリッドモデルに基づく
    テレビCMデザインのパーソナライズドレコメンドシステムの構築
    ― ユーザー属性に基づくテキスト・映像・音声特徴の最適化 ―」

    上智大学 本美 桃佳

  • 「化粧品の購買意向が高い男性の購買行動の特徴と
    購買意向を高めるためのアプローチ方法」

    東京理科大学 経営学研究科 金子 嵩英