2019年10月 1日

-マーケターが押さえておきたい効果的な広告の使い方- 【Webメディア積極利用層のテレビ視聴状況】

Webメディアの台頭によりテレビ離れが進んでいる。新しい物を積極的に取り入れる層を中心に新しいWebメディアの利用時間が増え、相対的にテレビの視聴時間が奪われていく、というイメージだ。

しかし、一言でWebメディアといっても、その利用率は様々だ。年代を問わず高い利用率となっており、マスメディアと呼んで差し支えないほどのWebメディアもある一方で、名前を耳にすることは多くても情報感度の高い層でしか利用されていないものもある。

ここでは、様々なジャンルのWebメディアを積極的に利用する層が、テレビを見ない傾向にあるのか、消費価値観の観点も交えながら紹介したい。

新しい物を積極的に取り入れる層ほど、多数のジャンルのWebメディアを利用

図1 イノベーター度別のWebメディアの利用ジャンル数

000276_001.png

出所)NRIシングルソース調査(関東20~69歳、2019年調査結果より)

以下データも同様

図1は、イノベーター度別のWebメディアの利用ジャンル数を比較したものである。ジャンル数とは、具体的な固有のWebメディアを有料動画配信、音楽配信、...と目的別に12区分に分類し、一人ずつその利用数を合計したものである。すると、イノベーター度が高いほど、利用しているWebメディアの数も多いことがわかる。イノベーター度が高い層というのは、人よりも先に新しい商品やサービスなどを利用する、流行に敏感な層を指す。反対に、ラガード層は、新しい商品やサービスには関心がない層を指す。つまり、新しいものを積極的に取り入れる層ほど、オンデマンドの動画配信サービスや音楽配信、フリーマーケットアプリなど、さまざまなジャンルを横断してWebメディアを積極的に利用しているのである。反対に、新しいものに関心のない層は、Webメディアの利用ジャンル数も低い。

新しい物を積極的に取り入れる層を中心に新しいWebメディアの利用が増えているというイメージとも合致する関係性である。

新しいものを積極的に取り入れる層も、テレビを視聴している

では、新しいものを積極的に取り入れる層は、いろいろなジャンルのWebメディアを積極的に利用する代わりに、テレビを見る時間がなくなってしまっているのだろうか。イノベーター度とテレビの視聴時間の関係を見ると、図2のようになる。

図2 イノベーター度とテレビの視聴時間(分/日)の関係

000276_002.png図2をみると、イノベーター度の高い層はテレビの視聴時間も低いわけではない。新しい物を積極的に取り入れる層でWebメディアの利用時間が増え、相対的にテレビの視聴時間が奪われていく、という関係性ではない。

20代に限定すると、イノベーター度が高いほどテレビ視聴時間が短い

では、イノベーター度とWebメディア・テレビの利用状況の関係を年代別に見た場合はどうだろうか。図3は、図1でみたイノベーター度とWebメディアの利用ジャンル数の関係、図2でみたイノベーター度とテレビ視聴時間の関係を、年代別に表したものである。

図3 イノベーター度とWebメディア・テレビの利用状況の関係(年代別)

000276_003.png

000276_004.png

どの年代についても、Webメディアを積極的に利用する層は、新しいものに積極的に取り入れるイノベーター度の高い層である。ただし、テレビの視聴時間でみると、20代では様相が異なっており、新しいものに積極的に取り入れるイノベーター度の高い層では、他の層よりもテレビの視聴時間が短くなっている。20代だけは、新しいものに積極的な層では、テレビ離れの傾向にあるのかもしれない。

このように、年代別にみると、テレビとWebメディアの利用状況の特徴が異なっていることがわかる。メディアプランニングの際にWebメディアを検討する場合は、ターゲット年代での利用率などを見ながら、費用対効果を判断していくことが重要だ。