2022年9月14日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」

ネット・タイムフリー視聴の増加により活用の幅が広がるラジオ広告


近年、radikoなどのインターネット経由ラジオ配信サービスの視聴が増加

 長い歴史を持つラジオにおいて、直近特徴的な動きをしているのがradikoをはじめとするインターネット回線を用いたラジオ配信サービスである。NRIインサイトシグナル調査によると、2019年→2022年にかけて、radikoの利用率は15%から20%に増加していることが分かった。本レポートでは、ネット経由のラジオ視聴者に注目して、ラジオ広告の効果的な使い方を検討する。

ラジオ波・リアルタイムは"ながら"視聴ネット・タイムフリーは好きな番組を専念視聴

 図1は、ラジオの視聴形態別によく視聴するシーンの上位5つを並べたものである。ラジオチューナーでラジオ波を通じてリアルタイム視聴する人(ラジオ波・リアルタイム)は、車の運転時など、"ながら"視聴をしているのが特徴だ。一方、radiko等を利用し、録音されたコンテンツを視聴(以下、ネット・タイムフリー)は、休憩時間にラジオだけ聴く人も多い。図2に示す番組の選び方もあわせて考えると、ネット・タイムフリーは、特定番組が好きで、その番組を専念視聴していることが特徴であるといえる。

図1 視聴方法別の視聴シーンTOP5marketing_v96_1.jpg

図2 番組の選び方marketing_v96_2.jpg

通常のスポットCMだけではなく、番組タイアップなどの有効活用が成功のカギ

 上記の状況を踏まえて、直近のラジオ広告活用事例と生活者の反応を考察する。食品・飲料業界A社の事例では、番組タイアップ・生CMが、スポット広告と比べて認知率はやや劣るものの、認知者あたり広告効果が3倍高いという結果になっていた。(図3

図3 ラジオ広告の活用事例marketing_v96_3.jpg


 前述のように、ネット・タイムフリー視聴者は、特定の番組が好きでラジオを視聴していることから、パーソナリティも好きであることが多いと想定される。ネット・タイムフリー視聴者増加に伴い、パーソナリティが番組内で商品の説明等を行うタイアップ・生CMは、今まで以上に効果が発揮しやすくなったことが、図3の結果の要因と思われる。

 タイアップ施策は、多少コストがかかったとしても、今まで音声だけではスルーされていたようなケースや、詳細な特徴を紹介したいケースで積極活用したい。例えば、新商品のように、商品名になじみがなく聞き流されやすい場合が
一つの活用場面として考えられる。ネット・タイムフリー視聴者の増加により、通常のスポットCMだけでなく、タイアップなどラジオ広告の活用の幅が広がっている。「とりあえずテレビ・Web」といった形で出稿先を決めるのではなく、ラジオも含めて最適な出稿先を検討してほしい。

出所)NRI インサイトシグナル調査
図1、図2: 20228月、関東男女20-60
図3:
2021年1月~2022年6月、関東男女20-60代

NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 中田壮星

NRIマーケティングサイエンスコンサルティング部では、シングルソースデータによる生活者の行動を毎日継続的に収集しております。お客様のテーマや課題にあわせて、データの追加調査や分析をおこない、マーケティング課題解決のお手伝いをいたしますので、こちらより、お気軽にお問合せください。