2022年8月 3日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」

成長する冷凍宅食サービス、冷凍食品が次に求められる要素とは?

冷凍宅食サービスの利用者は全体の5%、メイン利用者は夫婦と未婚の子世帯と忙しい層か

コロナ禍で市場が成長している冷凍食品だが、近年ではコンビニやスーパーといった実店舗だけでなく、オンラインでも入手ができるようになっている。本レポートでは広告で目にすることが多い、nosh(ナッシュ)やワタミの宅食ダイレクトのような「冷凍宅食サービス」について調査した。

まず、冷凍宅食サービスに関する認知率は生活者全体で44%、利用率は5%程度である。利用者の世帯構成をみると、夫婦と未婚の子世帯が最多の44%である。

図1:冷凍宅食サービス認知・利用率と利用者の世帯構成marketing_v90_1.jpg

代替先は内食が最多。中食ではコンビニやスーパーの弁当・総菜や冷凍食品が多い。

冷凍宅食サービスは何の代替となったのだろうか。図2をみると、全体的に内食(家庭で素材から調理して食べること)の回数が減ったと回答する人が多い。中食(家庭外で調理・加工された食品を食べること)については、特に「夫婦と未婚の子世帯」において利用回数が減っている。

図2:冷凍宅食サービス利用によって減った食事(MA)marketing_v90_2.jpg

現時点での冷凍宅食サービスの利用率は5%程度のため影響は少ないが、コンビニなどの弁当や冷凍食品多く代替されている。冷食メーカーやそれを扱うスーパーにとっては、実店舗の競合だけでなく、冷凍宅食サービスも競合として捉えるべきではないか。

リピーターが冷凍宅食サービスに求めることは、「 "毎日" "簡単に" "栄養管理ができる" 」

では、利用者は冷凍宅食サービスに対してどのようなメリットを感じているのだろうか。リピーターとトライアルユーザーで比較してみると、特にリピーターにおいて、「時短」「ストック」といった利便性、「おいしさ」「メニューの豊富さ」といった味・バラエティー、「塩分抑制」「栄養バランス」といった栄養管理に項目が上位である。 

図3:冷凍宅食サービスに感じているメリット(MA)marketing_v90_3.jpg

利用者の中心が「夫婦と未婚の子世帯」であることから、調理に時間をかけず、栄養バランスが管理できることがニーズにマッチし、かつメニューの豊富さから「またか、」とならないサービス性が、リピート利用につながり、冷凍宅食サービスの好調さにつながっていることがわかる。

コロナ禍が続く生活において、冷凍食品に求められることが、「時間がないから/手間を省きたいから」といった、困ったときのお助け商品から、「"毎日" "簡単に" "栄養管理ができる" 」商品へ変化しつつあるのではないか。

出所)NRI インサイトシグナル調査 (20225月、関東男女20-60代、N=3,777)

NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 寺内 秀斗

NRIマーケティングサイエンスコンサルティング部では、シングルソースデータによる生活者の行動を毎日継続的に収集しております。お客様のテーマや課題にあわせて、データの追加調査や分析をおこない、マーケティング課題解決のお手伝いをいたしますので、こちらより、お気軽にお問合せください。