2022年6月22日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
旅行の再開基準は、「皆がワクチン打ったら」から「感染者が減ったら」へ
旅行は「コロナ禍前よりも増やす」人が増加。買い物・外食は「以前より減らす」人が減少
2022年3月21日、東京都のまん延防止重点措置が解除され経済活動が活発になっている。ただし、感染者数は横ばい傾向にあり、再拡大の可能性も十分にある。この状況の中で、生活者が、各消費行動に対しどのようなスタンスを持っているかをウェブアンケートにより調査した。このアンケートは、東京都のまん延防止重点措置が解除された直後の3月26日に1都6県20代~60代に対し実施し、3,719名の回答を得た。なお、同じ設問を2021年9月にも同様の調査を行っており、比較を行っている。図1は、コロナ禍収束後の各行為の実施頻度の意向を取ったものである。この結果、2021年9月時点と比べると、旅行は「コロナ禍以前より増やす」と回答する割合が多く、「減らす」と回答する割合はそれほど変化はない。一方、化粧品や衣服の買い物は、「増やす」割合は変化ないが「減らす」割合は減少。外食についても同様の傾向が見られた。つまり、いずれの行為も、収束後の実施頻度は「増加」の方向に向かっていることがわかる。
図1:コロナ禍収束後の行為頻度の意向
旅行再開時期は、「周りの感染者数が減ったら」「政府が終息宣言を出したら」
次に、旅行に着目し、いつ旅行を再開するかを2021年9月の調査と比較した。この結果、2021年では「終息宣言が出たら」、「感染者数が減少したら」、「国民の多数がワクチンを打ったら」の順で再開すると回答した割合が高かったが、今回の調査では、 「終息宣言が出たら」、「感染者数が減少したら」の次に「周りの人が再開したら」の回答が多い結果になった。ワクチン接種状況については、選択肢は3つあるが、いずれも回答が減少している。
図2:コロナ禍により減らした各行為を再び増やすタイミング(複数選択)
昨年9月の時点では、ワクチン接種による集団免疫の獲得により、終息に向かうと期待はされていたが、その後、ブレイクスルー感染が発生し、2022年1月からの第6波が発生したことで、国民の多数がワクチンを接種したら旅行を再開するという考えをもつ人が減少した。
2022年3月時点の回答を見ると、国内旅行では、終息宣言後という層と感染者数が減少したらという層が拮抗している状況。海外旅行については、終息宣言後が引き続き半数を占め、慎重な考えを持つ人が多い。
しばらくの間、生活者は感染者数の状況を睨みながら、国内旅行をする状況が続きそうである。
出所)NRI インサイトシグナル調査 (2021年9月、2022年3月、関東男女20-60代)
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 梶原光徳