2022年3月30日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」

地域別にみたテレビ視聴時間:消費性向の高い都市部でTV視聴離れ

テレビの視聴に関する調査としては、経年的な変化や年代の特徴に関するものが多く見受けられる。図1は、総務省情報通信政策研究所の調査であるが、10代・20代の若者のテレビ離れ、ネット利用の状況を如実に示している。

図1:年代別にみたテレビ・ネットの平均視聴時間(平日)marketing_v75_1.jpg

NRIでは、これとは少し視点を変えて地域によるテレビ視聴時間の差を可視化することを行った。

NRIでは、全国に約18万ある町丁目の行政単位を、その地域住民特性に応じて21のエリアタイプに分類し、そのエリアタイプ毎にテレビの視聴時間をアンケート調査で把握して整理した。その結果をテレビ視聴時間が長いエリアタイプからソートしたものが図2である。総務省との調査とも符合して、若者が多いエリアタイプでテレビ視聴時間が短い結果となっている。

図2:エリアタイプ別のテレビ視聴時間(平日・休日計)marketing_v75_2.jpg

但し、21のエリアタイプでは、年齢以外に世帯人数や所得・金融資産、職業等を加味して分類されているため、小さい子供がいるファミリーであれば若い世代でも世帯視聴は長いというような特徴を抽出している。

また、この結果を統計的に処理して町丁目別の視聴時間を推計して地図化したものが図3である。小田急多摩センター駅周辺では、テレビ視聴時間が長いところと短いところがモザイク状に存在していることがわかる。

図3:地域別のテレビ平均視聴時間(平日・休日計)marketing_v75_3.jpg

(地図)(株) マップル(注)色分けは町丁目単位で(一都三県を対象)
赤:上位20% :実施上位2040% 緑:上位4060
薄青:上位
6080% 青:上位80100%(下位20%)

地域別のテレビ平均視聴時間の推計方法

NRI推計値のテレビ視聴時間データは、2021年5月に全国を対象に実施した5万サンプルのアンケート調査と、NRIが整備しているエリア情報(町丁目単位の所得や金融資産など)とを組み合わせた統計モデルにより推計した値である。

(出所)
図1: 令和2年 度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する
調査報告書(令和3年8月 総務省情報通信政策研究所

図2、図3: NRI

NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 上級データサイエンティスト 武井博一

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