2022年3月 2日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
「ソロキャン」「ひとりディズニー」SNS疲れが助長するZ世代の一人行動
SNSコミュニケーションが盛んなZ世代は、他人とのつながりがわずらわしくて一人行動する
コロナ禍における新しい生活様式のひとつとして、コロナ感染リスクを減らすために一人行動が盛んになったと言われている。一人行動に関する調査をしたところ、若年層とそれ以外で大きな違いが見られた。本稿では、昨今着目されている"Z世代"と呼ばれる若年層について、一人行動の特徴を紹介する。
Z世代は1990年代後半以降に生まれた人を指し、2021年時点では概ね25歳以下の人(本調査では15歳~25歳で定義)である。初めて持つ携帯からスマホを手にし、SNSによる情報収集・情報発信等のコミュニケーションが盛んな世代である。自ら進んで一人行動したことがある人はZ世代で79%、Z世代以外では74%であり、Z世代の方がやや高い。一人行動をする理由(図1)としては、Z世代以外では「コロナ感染懸念等により、他人との接触を避けたいから」も26%と多く挙げられていたが、Z世代においてはその割合は低く、「他人とつながることがわずらわしいから」が51%と高い。「スマホで時間つぶしができるから」も高いことから、スマホ活用が一人行動を促進しているものと考えられるが、SNSコミュニケーションが盛んなZ世代においては、常に他人とつながることへの疲れも一人行動の理由としては大きい。
図1:一人で行動する理由(Z世代/Z世代以外の比較)
「ソロキャン」「ひとりディズニー」・・・一見抵抗感ある活動でもZ世代は一人で行動してしまう
一人行動への抵抗感が無い活動(図2)は、世代間で共通して「蕎麦、牛丼などのチェーン店」や「ファミリーレストラン」が高く、一人で「国内旅行」することもファミレス利用と同じくらい抵抗感が無い活動となっている。また、Z世代の方がそれ以外の世代より一人行動において10pt以上も抵抗感が無い活動は「キャンプなどのアウトドアレジャー」「焼肉、食べ放題などのグループ利用の店」「居酒屋」「ディズニーランドなどのテーマパーク」である。"ソロキャン""ひとりディズニー"などの用語も定着するほど、Z世代では一人行動への受容性は高い。また、SNSへの情報発信にも積極的なZ世代は、至極の"映える"1枚を投稿したい人にとっては、複数人で行動するより一人で行動した方がいろいろと都合が良いのだろう。
図2:一人で行動することに抵抗感の無い活動※(Z世代/Z世代以外の比較)
※「まったく抵抗感はない」「どちらかといえば抵抗感はない」「どちらかといえば抵抗感がある」「抵抗感がある」の4段階で聴取し、 「まったく抵抗感はない」「どちらかといえば抵抗感はない」の合計をグラフに示している。
一人行動ひとつ見ても、Z世代は特異な価値観を持つ。人口ボリュームは小さいものの、将来の消費の中心となるZ世代において、その消費行動を捉えることは未来の消費予測につながる。Z世代の特徴を捉え、新たなビジネスチャンスのヒントを掴むことが肝要だ。
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースデータ
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 林裕之 主任コンサルタント