2022年2月 9日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
アクティブに消費する五輪観戦者をスポンサー効果で獲得せよ
オリンピック観戦意向あり層は観戦意向なし層に比べて消費が多い傾向
2021年8月、紆余曲折あった東京オリンピックが幕を閉じたことは記憶に新しい。NRIではこれまで東京オリンピックについて様々な分析・考察を発信してきた。今回はマーケティング視点で生活者の消費実態などに着目する。
図1はオリンピック観戦意向ありと観戦意向なしの層に対する趣味と消費実態を表している。それぞれのセグメントで好む趣味を見ると、観戦意向ありの層はスポーツや旅行などを好み、観戦意向なしの層はテレビゲームや料理などを趣味に持つ傾向があるようだ。趣味に関しては2つのセグメントで傾向がわかれるが、消費実態については総じて観戦意向ありの層が高く平均で3pt高い消費実態となっている。個別の項目を見ても、ほとんどの商材で消費実態は高まっており、観戦意向を持つ人達は趣味だけでなく、消費に関してもアクティブな姿勢を持っていると言えるだろう。
図1:オリンピック観戦意向あり/意向なし層における趣味と消費実態
オリンピック観戦者に対しては好感度・利用意向でスポンサー効果あり
図2はオリンピック後にスポンサーに対する利用意向と好感度を聴取した結果である。スポンサーに対する利用意向と好感度はオリンピック観戦者と非観戦者で大きく異なる。オリンピック観戦者ではスポンサー企業の商品・サービスに対して「好意的であり、利用したい」と回答した人は32%でボリュームゾーンとなっている。好意者を含めると61%となり、半数を超える人がスポンサー企業に対して良いイメージを持っている。イレギュラーなオリンピック大会であったが、観戦者に対してスポンサーであることは有効に働いているのではないか。
図2:オリンピック観戦者/非観戦者別スポンサー企業商品利用意向
一方でオリンピック非観戦者の36%はスポンサーに対して好感度も低く、利用を拒んでいる。ただし市場のパイとして、「オリンピック観戦者=スポンサー効果が見込める層」の方が大きく、マーケティング戦略としてはこちらのアクティブ層を狙っていく方針も十分俎上に上がるだろう。
オリンピックがいつ国内で開催されるかは定かではないが、大型イベント関心層のような、消費に対してもアクティブでスポンサー効果が見込める重要ターゲットへのアプローチを模索する必要がある。
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースデータ
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 川上貴大