2022年2月 2日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」

GoToトラベル利用意向は5割超。リピーターの積極活用に期待

GoToトラベルが再開されたら、関東生活者の5割は「利用したい」と前向きな姿勢

 緊急事態宣言も解除され、徐々に経済活動再開の動きが見えてきた中、政府は昨年度行っていた「Go To トラベル事業(以下GoToトラベル)」再開の検討を始めている。前回は大きな盛り上がりを見せた本キャンペーンだが、その後感染の再拡大もあった。新型コロナウイルスワクチン接種も広がり、生活者の行動にも変化が定着している中、今GoToトラベルが再開されることに期待感を持つ人はどれほどいるのか、関東2069歳生活者を対象とした調査を実施した。

 図1は、GoToトラベルが再開されたら、利用したいかを聴取した結果である。グラフの通り、関東生活者の53%が利用したいと回答しており、ワクチンを接種した人や、前回のGoToトラベルを利用した人で前向きだ。特に前回利用者の利用意向は89%と高水準で、前回申込を行った人の多くがリピーターとなって再活用することが期待される。調査では、利用したいと回答した人に対して、行きたいエリアについても聴取(複数回答)したところ、1位北海道44%、2位沖縄35%は想像通りではあるものの、北関東、首都圏と回答する人も2530%となっており、まずは近場で利用したいと考えている人も多そうだ。

図1 GoToトラベルキャンペーン利用意向
Q. 現在、「Go To トラベル」キャンペーンの再開が検討されています。
もし、再開されたら、あなたは利用してみたいと思いますか。marketing_v66_1.jpg



GoToトラベルのネックは感染対策への懸念。治療薬や収束宣言が望まれる

 図2、図3は、GoToトラベルを利用したくないと答えた人に対して、なぜ利用したくないか、どうしたら利用しても良いかを聞いた結果だ。利用したくない理由は「ワクチンを打っていても、感染を完全に抑えることができない」が圧倒的に高く、2位の公共交通への不安も含め、ワクチン接種の状況よりも感染対策への不安が大きい。また、利用しても良い条件トップは「治療薬」となり、感染を完全に抑えることは出来なくとも治療薬ができたら安心して出かけられると考える人も多い。収束宣言が出ることがもちろん最も望ましいが、ワクチン接種率が7割を超える今、次に経済活動をドライブさせるきっかけとなるのは治療薬の開発、日本への流通であることは言うまでもない。

図2 GoToトラベルキャンペーンを利用したくない理由marketing_v66_2.jpg

図3 GoToトラベルキャンペーンを利用してもいい状況marketing_v66_3.jpg

 前回の反省も踏まえ、利用者だけでなく利用を避ける人の意見にも目を向け、国民の多くが納得するGoToトラベルとなることを切に期待したい。

出所)NRI インサイトシグナル調査(20211023日、関東男女20-60代)

NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 原野 朱加

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