2020年10月28日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
BS放送はリーチを確保できるターゲティング・メディアとしての活用を
野村総合研究所では、BS放送も含めてテレビの視聴実態を365日把握している。新型コロナの影響により、在宅時間が増えて、地上波の視聴時間は拡大傾向にあった。今回は、BS放送に着目し、視聴実態を整理する。アフター・コロナ期において、BS放送は広告を出稿する媒体として、どのような使い方ができるのかなどについて考えてみよう。
1日あたりの視聴時間は地上波4.8時間、BS放送は0.9時間で安定的に推移
1年前(2019年7~8月)、コロナ流行で緊急事態宣言が出された時期(2020年4~5月)、コロナが一旦落ち着いて第2波がきた時期(2020年7~8月)のテレビの1日あたりの平均視聴時間を比較したものが図1である。平均視聴時間は、地上波が4~5時間であるのに対し、 BS放送の場合は1時間弱で推移している。テレビ視聴全体の2割弱の割合であり、無視できない視聴時間を占めている。
図表1 地上波・BS放送の1日あたり視聴時間(時間/日)
地上波は緊急事態宣言期は大きく視聴が伸び、その後はやや落ち着いてきたが、1年前と比較すると視聴時間は高位で安定してる。BS放送の場合は、緊急事態宣言の時に、地上波のように視聴時間は拡大しなかった。これはBS放送の強みの1つである野球やサッカーなどの「スポーツ」が中止され、生中継の放送がなかったことが影響していると考えられる。
地上波はニュース、バラエティの視聴が多く、BS放送はスポーツ・ドラマ・映画などが中心
BS放送の場合、地上波と比べて、見られている番組のジャンルが大きく異なっている。地上波で見られているニュースやバラエティなどの視聴は少なく、スポーツ、ドラマ、映画などの視聴が多い。これらのジャンルの特徴としては、番組あたりの視聴時間が比較的長いことや、視聴者像が想像しやすい。例えば、スポーツジャンルは男性、ドラマは女性の中・高齢者などが想定される。
図表2 番組ジャンル別の視聴時間比率
自社の商品・サービスと親和性の高いジャンルを出稿先として選定することで、ターゲットに対して効率的なリーチが可能である。さらにデータをもとに番組別の視聴者像を特定することで、ターゲティングの精度を高めることができるであろう。視聴時間は1日平均で1時間弱と、一定程度あることから、BS放送は、リーチの獲得も期待できるターゲティング・メディアとして活用できるであろう。
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースパネルデータ
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 部長 塩崎潤一