2020年9月29日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
「ネットショッピング時代ではブランドロイヤルティ戦略の強化を」
コロナ期を経て、ネットショッピングの利用率は加速している
緊急事態宣言発令から、早半年が経過した。在宅率の増加、テレワーク実施、休日の外出自粛と新生活にも慣れつつあり、Withコロナのニューノーマルな生活様式も固まりつつある。大きく変化したものの代表例として、インターネットショッピングがあげられる。外出を控える影響で、生活者のネットショッピングの利用率が増加している。本レポートでは、コンビニやスーパーでの購買とネットショッピングで何が違うのかを掘り下げる。
図表1 購買チャネルの変化
図表1は、購買チャネルの変化として、コンビニとネットショッピングの利用率の推移を見たものだ。2020年3月を境にコンビニの利用率が下がり、ネットショッピングの利用率が高水準で推移していることがわかる。コンビニで購入する代わりにネットショッピングを利用していることが分かる。特に緊急事態宣言が明けてもそのまま拡大傾向にあることから、コロナ以前から拡大傾向にあった勢いそのままに、ニューノーマルの購買スタイルとして定着していることが分かる。
ネットショッピングでは、ブランド指名検索は25.8%、大半は「目的」で検索する
ネット購入となり何が異なるのか、それは「商品の選び方」と言える。図表2を見てほしい。Amazonや楽天で商品を購入する際に、どのような検索をし、何を買ったかの調査した。その結果、検索の方法としては「ブランド指名買い」と「目的買い」に分別できた。例えば、コカ・コーラを購入する際に、"コーラ"と検索していれば、「ブランド指名買い」で、"炭酸飲料"と検索していれば、「目的買い」だ。
図表2 インターネットショッピングの際のカテゴリ別のブランド指名検索率
全体で見ると25.8%が「ブランド指名買い」で、それ以外は、"化粧水&保湿"や"首掛け&扇風機"などの「目的」から検索している。カテゴリ別では、洗剤などのトイレタリーでは、ブランド指名率が58.7%と高いことが特徴的である。
「目的買い」では価格が決定要因。価格競争を避けるためにブランドロイヤルティの強化を
特にブランドを指名しない「目的買い」で何を重視するかを調査したところ、大半が「価格」、次いで「レビュー」となった。ネットショッピングは、これまでコンビニで見ることがなかった商品も選ぶことができ、幅広い選択肢での激しい競争環境となる。価格競争に巻き込まれないためには「ブランド指名」をいかに獲得するかが重要だ。さらに、「箱買い」による大量購入や「購入履歴」からの再購入というオプションがあることもネットショッピングの特徴のため、「ブランド指名」されることがより重要になる。今後、ネットショッピングが伸長していくことは明らかである。指名買いを受けるほどのブランドを育てるか、価格競争のみを考えるか、これからの商品戦略は大きく二分される。
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースパネルデータ
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 森田光一 主任コンサルタント