2020年9月17日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
「"マスク"で減る女性ポイントメイク、増える男性スキンケア市場」
マスクによって苦しむ女性ポイントメイク市場
連日猛暑にもかかわらず、街ではほとんどの人がマスクを着用している。新型コロナウイルスによって我々の日常は大きく変化したが、マスクの着用はその大きな変化の一つといえるだろう。今回のレポートではマスク着用の日常化が及ぼす消費実態の変化について着目したい。
図表1 女性ポイントメイク使用率変化
女性のポイントメイク市場は苦戦を強いられている。図表1は女性のポイントメイク使用率の変化を表しているが、女性全体は昨年6-7月に比べて今年の6-7月は-6.9%の減少が見られる。外出自粛に加え、外出時にもマスクを着用していることからフルメイクの機会が減少したことがその背景にあると考えられる。口紅などはマスク日常化の影響が大きく表れているのではないだろうか。今後もマスクの着用が継続することを考えると女性ポイントメイク市場は苦戦が続きそうだ。
「マスク荒れ」がもたらす男性スキンケア市場
マスクによる過度な加湿や摩擦は肌荒れの原因となると言われており、肌荒れに悩む人の割合は昨年3-4月から増加している(図表2)。
図表2 肌荒れ、しみ、ニキビに悩む人割合
図表3 男性のスキンケア使用率変化
その「マスク荒れ」の増加は男性スキンケア市場に良い影響を与えている。図表3は男性のスキンケア使用率の変化を表したグラフである。こちらによると、男性全体で昨年の6-7月と今年の6-7月を比べて+8.8%の伸長が見られる。マスクの日常化により男性に対してスキンケアの需要が高まっているといえる。特に若年層のスキンケア使用率が大幅に拡大しており、今後も「マスク荒れ」がもたらす男性スキンケア市場はまだまだ伸びしろに期待できそうだ。
今回の男性スキンケア市場やポイントメイク市場は新型コロナウイルスがもたらす間接的な生活スタイルの変化の一例である。感染対策のための新しい生活様式の変化だけではなく、このような間接的な変化も、今様々な市場でみられているだろう。今後ニューノーマルな生活ではどのような変化が定着するかを見極めることが重要である。
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースパネルデータ
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 コンサルタント 川上貴大