2020年6月23日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」

「ニューノーマルは若者から。男性は外へ、女性はおうち消費。」

徐々に動き出した外出市場、しかしすぐにコロナ前には戻らない

525日に緊急事態宣言が解除され、徐々に経済活動が動き出している日本。619日にはいよいよ東京でも全業種の営業自粛要請が解除され、我々の生活は徐々に従来の姿を取り戻しつつある。

図表1 各ステージにおける生活者の行動意向率

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図表15月にNRIが調査したインターネット調査をもとに各ステージにおける行動意向率を算出したものである。「移動制限の全面的な解除」とは、県をまたぐ移動なども解除された場合を想定して回答を得たものであり、現時点はおよそこの2段階目といえるだろう。緊急事態宣言の解除からまずは外食、追って娯楽、イベントと回復していくことが見込まれるが、娯楽や旅行の回復は外食と比べて遅い。旅行(国内に限定して聴取)は移動制限が解除されても5割程度だ。

女性・高齢層は慎重姿勢、若年は行動しながら"スタイル"を変えていく

移動制限の全面的な解除後の行動を男女別に見たところ、女性よりも男性の方が行動意向率が全体的に高い。特に娯楽・旅行においては10pt前後開きがあった(図表2。また、年代別では総じて若年の方が高い。

図表2 「移動制限の全面的な解除後」の行動想定率

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図表3 新しい生活様式の実践意向

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外出以外の行動についても属性の違いを見てみよう。新しい生活様式ので「積極的に実施したい行動」を調査した結果(図表3)を見ると、マスクや手洗いは、女性・高年齢層の方が実践意向が高い。外出行動の傾向合わせて、女性・高齢層の方がコロナ対策に慎重な姿勢であることがわかる。一方、テイクアウト・デリバリーは共に若年の実施意向が高い。若年は行動を制限するばかりではなく、行動スタイルを変えることでコロナ対策に臨みたいと見える。

コロナ時代に経済を動かしながら適応するニューノーマルな行動は、まずは若者が筆頭となるだろう。特に男性はいち早くに出ながら、女性は慎重に対策をしつつ日々の生活を工夫しながら適応していく。彼らの適応スタイルを観察し、正しく捉えていくことが、マーケターがこの時代を生き抜くための糧になるに違いない。日々変化するニーズを探るべく、今改めて若者に耳を傾けてはいかがだろう。

出所)野村総合研究所 インターネットアンケート調査
対象者:全国男女15歳~79歳 計8,832
集計値は2019年人口推計に基づきウェイトバック処理済み

行動率とは、感染症拡大前の外出者数を100%とした場合の、各ステップにおいて活動する人数割合を示す。

移動制限の全面的な解除とは、「全国すべての業種の休業要請が解除され、都道府県をまたぐ移動も可能となった状態。ただし、感染リスクが消えたわけではなく、外出するには感染予防やソーシャルディスタンスの徹底が必須である状態」、国内終息宣言後とは、「国内の新規感染者数は(ほぼ)ゼロとなり、日本政府より新型コロナウイルス感染症が国内で終息したことが発表される。なにも気にせず自由に外出できる状態」と提示し、行動意向の回答を得ている

NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 主任コンサルタント 原野朱加

NRIマーケティングサイエンスコンサルティング部では、シングルソースデータによる生活者の行動を毎日継続的に収集しております。お客様のテーマや課題にあわせて、データの追加調査や分析をおこない、マーケティング課題解決のお手伝いをいたしますので、こちらより、お気軽にお問合せください。