2020年6月15日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
「子供がきっかけとなり、拡大する有料動画サービス」
コロナ期2カ月で、Amazon Prime Video、Netflix利用が大きく進んだ
外出自粛時における余暇の楽しみ方といえば、自宅でテレビや映画などの動画を楽しむシーンが浮かぶだろう。インサイトシグナルデータでは、コロナ期前後における動画視聴サービスの利用の変化が見て取れた。YouTubeの利用割合は以前から8割を超える高い水準を維持しているが、それ以外の動画配信サービスの中では、Amazon Prime VideoとNetflixが大きく伸びていた。特にAmazon PVについては、コロナ禍前の過去1年間では利用割合は+3.8%の伸びだったのに対し、コロナ禍の3月から5月のわずか2カ月で+4.2%も伸びている。また、Netflixについても直近2カ月で+1.7%の伸長であり、過去の利用推移と比較するとコロナ禍で大きく伸びたサービスである。
図表1 インターネット動画視聴サービスの利用割合の推移
子供のいる世帯でAmazon Prime Videoが浸透
Amazon PVについて、3月から5月の変化を世帯構成別に分析すると、「夫婦と未婚の子供の世帯」が大きく伸びていた。ゴールデンウィーク中の緊急事態宣言の延長を受け、5月末まで休校となった子供たちは多い。 Amazon PVでは5月末までキッズ向けコンテンツを一部無料開放しており、それをきっかけに、子供を楽しませるために有料会員へ踏み切った人もいるだろう。月額料金が映画1本よりも安いことも、入会への心理的ハードルを下げている。
図表2 Amazon Prime Videoの利用割合の推移(世帯構成別)
緊急事態宣言が明けても、子供がコロナ感染するのは防ぎたい。子供が興味を惹かれる充実した動画コンテンツサービスは、自主的に自粛生活を送りたい親心のニーズに合致しており、たとえ有料であっても、利用は継続されるのであろう。
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースパネルデータ
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 林裕之 主任コンサルタント