2020年6月 9日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
「新生活様式に"なる"テイクアウト、"ならない"オンライン飲み会」
約8割が今でもソーシャルディスタンスを実践。オンライン飲み会は約20%が経験済み
5月も後半に入り、ついに全国で緊急事態宣言が明けた。とはいえ、完全に収束したわけではなく、第二波、第三波の可能性を考えると予断を許さない状況が続いているが、外出自粛が続いたこの3ヶ月の中で、我々生活者の日々の行動に大きな変化が起こっている。今回は現在の実態とその生活行動が、今後根付いていくのかを分析した。
まず、緊急事態宣言の解除直後(5月30日)に、現在実施している生活行動と、半年後に実施していると思われる生活行動をアンケートにより調査した。現在実施している行動として、うがいや手洗い、アルコール除菌などは80%を超える実施率となっている。また、ソーシャルディスタンス(物理的な距離をとる)についても約8割となっており、現時点では基本動作としてかなり浸透している。また、外出が制限されたことにより、部屋の片づけや自宅での筋トレ、ヨガといった自宅での活動ともに、新しい料理メニューへの挑戦(34.5%)や手の込んだ料理やお菓子づくり(25.8%)といった食事への行動も変化している。なお、話題となっているテレワークは約30%、オンライン飲み会は約20%が経験したと回答している。一般的に普及した、といえる数字ではないが、限られた人だけの行動というわけでは無さそうである。
現在実施している行動と、今後の継続行動
コロナ後もテイクアウトやデリバリー、食材宅配などの"食に関するサービス"はスタンダード化
続いて、今の行動のうち、半年後も続けている行動の比率(半年後継続率)を算出する(図の右側)。この数字が高いと、コロナ後の生活行動として根付いている可能性が高いといえる。まず、うがいや手洗い(92.1%) 、アルコール除菌(76.3%)は、かなり数値が高く、歯磨きや洗顔と同様に日本人の習慣化となりそうだ。
外食に代替するサービスといわれている、テイクアウトサービス(77.4%)、フードデリバリ―サービス(74.5%)、食材配達サービス(81.4%)もそれぞれ高い数値となっている。また、コロナ期から急に始まったわけではないが、コンビニスイーツの購入も88.3%と非常に高い。一時のブームではなく、食の在り方について大きな変革が起こったと考えられる。外食、小売り業ではこのようなサービスが根ざしていることを前提とし、今後戦略を組む必要があるだろう。
なお、先ほど触れたオンライン飲み会の継続率は38.3%どまり。年代で分解すると男女とも40代が43.9%と最も高く、20代は37.0%と比較的低い。若い方は実際に会って楽しみたい、中高年は何でもいいからお酒が飲みたい、というところだろうか。
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースパネルデータ
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 松本崇雄