Marketing Analysis Contest

マーケティング分析コンテスト

2023

審査結果・レポート公開中

2023年審査会レポート

マーケティング分析コンテスト2023 詳報

さまざまな視点から生活者の購買要因を掘り下げてデータを分析し、斬新なビジネスの法則や新しいマーケティング指標等の発見を競う「マーケティング分析コンテスト2023」の最終審査会が2023年12月19日、野村総合研究所本社にて開催された。17度目の開催となった今回は、84件のレポートが集まり、予備審査を通過した優秀な作品に対する激論の審査会となった。

第17回目を迎えた今回も例年どおりニュースリリースを中心とし、コンテストへの参加を募った。レポート提出は84件となり、引き続き数多くのご応募をいただくことができた。企業が単独で行う広告・マーケティング領域でのコンテストとしては、国内最大級であるといえよう。

今年の特徴は、データ分析に慣れた学生が増えてきた反面、分析が先行している論文も増えた印象。審査員からは「完成度の高い分析手法や着眼点の優れた仮説設定のレポートも散見された」との声も挙がった。

今回も例年どおり11月中旬から6人の審査員による予備審査が行われ、最終審査作品を選定した。最終審査会では1作品ずつ丁寧に議論がなされ、分析結果が有益なもの、分析ロジックやプロセスの優れたもの、視点や仮説設定が斬新なもの、ビジネス実務への展開が可能なものなど、多面的な評価のもと、審査がおこなわれた。

その後、最終投票がおこなわれたが、本年度は例年と比較して最優秀賞に値する作品はなし、優秀賞、佳作をそれぞれ2作品の選定となった。

優秀賞には、株式会社日立製作所 研究開発グループ 藤間 友理氏による「データ分析と生成AIを組合せたキャッチコピー生成システム」が選出された。今までのコンテストにはなかった斬新な研究で、BERTという言語モデルを用いて生成されたキャッチコピーを評価しており応用範囲が広そうだと評価された。

優秀賞2作品目は、青山学院大学 経営学部 藤井 慶信氏による「商品認知と購買意欲向上に寄与する音の特徴量」が選出された。視点が興味深く、音楽ソフトによって加工した変数を使うなどの独自の分析方法が評価された。

佳作には、広島大学 総合科学部 後藤 梨久都氏による「ケース・コントロール研究と傾向スコア分析を用いたCMの内部・外部効果検証」が選出された。CMやパッケージの質的分析と考察が丁寧で実務への応用が意識されている点が評価された。

佳作2作品目は、 千葉県庁 総合企画部 久保 隆史氏による「電子コミック優良顧客のターゲティングと広告戦略」が選出された。優良顧客の特徴とそれを踏まえた提案施策の納得性が高い点が評価された。

審査会終了後、各審査員からは「本年度は、分析の狙いや進め方が明確で分かりやすいか、データ応用の拡がりの可能性が感じられるか、結果から読み取った考察がされていたか、が評価ポイントとなった」と、総括した。

「マーケティング分析コンテスト2023」各賞受賞作品(敬称略)

Grand Prize

最優秀賞

  • 該当なし

 

 

 

First Prize

優秀賞

  • 「データ分析と生成AIを組合せたキャッチコピー生成システム」

    株式会社日立製作所 研究開発グループ 藤間 友理

審査員コメント

「今までのコンテストではなかった斬新な研究。ターゲットに合わせたキャッチコピーを自動生成させるというのは一歩進んだ研究だと思う」

「生成されたキャッチコピーをBERTで評価していること (キャッチコピーの内容の類似度を評価する)が評価ポイント。応用範囲が広そう」

First Prize

優秀賞

  • 「商品認知と購買意欲向上に寄与する音の特徴量」

    青山学院大学 経営学部 藤井 慶信 鈴木 大就 吉川 洸

審査員コメント

「コネクテッドTVを前提としてCM音源のカスタマイズによってCM効果を向上させる、という発想が実務的にも応用可能性が高く評価できる」

「商品認知と購買意向に影響するCM内の音について、その特徴量を明らかにするという視点が興味深い。音楽ソフトによって加工した変数を使うなど、分析方法にも独自性がある」

Second Prize

佳作

  • 「ケース・コントロール研究と傾向スコア分析を用いた
    CM の内部・外部効果検証」

    広島大学 総合科学部 後藤 梨久都

審査員コメント

「研究目的が明確かつ焦点が絞れており、分析手法に齟齬がなく、分析上の配慮も行き届いている」

「分析結果から施策立案するにあたってCMやパッケージの質的分析と考察が丁寧になされており、分析だけに終わらせず実務への応用が明確に意識されている」

Second Prize

佳作

  • 「電子コミック優良顧客のターゲティングと広告戦略」

    千葉県庁 総合企画部 久保 隆史

審査員コメント

「得られたクラスタを利用しながら、高度な分析手法によりCMの効果も検証しており、分析に明確なストーリーがあるのがよい。優良顧客の特徴とそれを踏まえた提案施策の納得性が高い」

「Webサービスの利用状況により広告出稿の在り方が異なるという視点が面白い」

最終候補作品

  • 「消費者属性を考慮した商品カテゴリ別広告クリエイティブの最適化
    ~階層ベイズモデルを用いて~」

    福岡女子大学 国際文理学部 谷石 陽菜乃

  • 「携帯キャリアの差別化プロモーション」

    東洋英和女学院大学 国際社会学部 井上 ゆみ乃

  • 「ライブコマース利用者に効果的なCM分析」

    名古屋大学 情報学部 山崎 泰雅

  • 「TV広告の効果に対する消費者属性の影響の分析、
    及びTV広告効果の増大のための施策」

    東京理科大学 経営学研究科 粟國 晴楽

  • 「制御焦点理論に基づく広告効果の研究
    〜望ましい広告出稿の検討〜」

    長野県立大学 グローバルマネジメント学部 星野 和奏

  • 「商品、企業などの分類によってCMごとに流すべきチャンネルはあるのか」

    中京大学 総合政策学部 近藤 仁太 後藤 俊亮 原 鼓波 渡辺 愛花 小林 真太郎 水島 逢香 川地 凌矢

  • 「節約型消費者は、どのような要因の影響で贅沢品を購入するのか」

    福岡大学大学院 商学研究科 王 彤

  • 「ビール広告の効果的な構成の提案」

    広島大学 経済学部 藤澤 新

  • 「CM効果に対する前後の放送内容の影響分析」

    広島大学 総合科学部 大橋 春仁

  • 「シリアスレジャーとその関連概念に関する一考察」

    福岡大学大学院 商学研究科 阿部 太一

  • 「UXを表現したテレビCMの広告効果」

    同志社大学 文化情報学部 大谷 寛都

  • 「心理効果を使用したCMの広告効果」

    中京大学 総合政策学部 杉本 泰志 中 亮太朗 竹村 聖奈 濵野 萌衣 花田 瑛都 平松 誠矢

  • 「テレビ広告によるビール市場へのアプローチ」

    大阪公立大学 経済学部 宇土 穂 石田 奏 竹元 奈央 土井 紗弥 徳持 善太

  • 「購買行動モデル【AIDMA】を用いた効果的コミュニケーション戦略」

    青山学院大学院 国際マネジメント研究科 土屋 友理子 富田 勇大

  • 「商品種別ごとのCM効果について」

    武蔵野大学大学院 工学研究科 藤田 海渡

  • 「損失フレームを用いたテレビCMの最適な表現方法の提案」

    関西大学 経済学部 髙木 那菜

  • 「電子コミック業界におけるテレビCMの効果が期待できる消費者の特徴分析と
    期待できない消費者に効果的な訴求方法の提案」

    東京理科大学 経営学部 今岡 美結

  • 「結合トピックモデルを用いた新たな基準でのターゲット設定の提案」

    青山学院大学大学院 経営学研究科 佐藤 凌雅