Marketing Analysis Contest

マーケティング分析コンテスト

2019

審査結果・レポート公開中

実施レポート

マーケティング分析コンテスト2019 詳報

さまざまな視点から生活者の購買要因を掘り下げてデータを分析し、斬新なビジネスの法則や新しいマーケティング指標等の発見を競う「マーケティング分析コンテスト2019」の最終審査会が2019年12月19日、野村総合研究所本社にて開催された。13度目の開催となった今回は、過去最多水準115件のレポートが集まり、予備審査を通過した優秀な作品に対する激論の審査会となった。

第13回目を迎えた今回も例年どおりニュースリリースを中心とし、コンテストへの参加を募った。レポート提出は過去最多水準115件となり、引き続き数多くのご応募をいただくことができた。企業が単独で行う広告・マーケティング領域でのコンテストとしては、引き続き国内最大級であるといえよう。

今年の特徴は、昨年から引き続き、応募作品全体の平均レベルが高まっており、分析手法での差がさらになくなりつつある状況。審査員からは「これまで以上に分析の前提となる仮説設定やマーケティング観点からのアプローチが求められるようになった」という声が多く寄せられた。内容については、テーマに対して適切な分析手法がとられているか、結論の妥当性・説得力などがポイントに上がっていた。

今回も例年どおり12月中旬から6人の審査員による予備審査が行われ、最終審査作品を選定した。最終審査会では1作品ずつ丁寧に議論がなされ、分析結果が有益なもの、分析ロジックやプロセスの優れたもの、視点や仮説設定が斬新なもの、ビジネス実務への展開が可能なものなど、多面的な評価のもと、審査がおこなわれた。
その後、最終投票がおこなわれたが、受賞作品の決定には最後まで白熱した議論が行われた。最終的に、最優秀賞、優秀賞、佳作を1作品ずつの選定となった。

最優秀賞には、同志社大学 文化情報学部 永冨 美里氏、森 達平氏、中江 菜々子氏による「「音」から見るテレビCMの広告効果の分析」が選出された。CMの音量と音程がどのように広告効果量に影響するかを分析したもので、ユニークな着眼点と実務への応用可能性が高く評価された。

優秀賞にも、同じく同志社大学 文化情報学部の 礒見 信司氏による「民放テレビ局のゴールデンタイムにおける効果的な広告主選択」が選出された。消費者の観たがる番組と、その人に合致した商品の組み合わせに着目した点や、独自の指標を設定したアプローチも評価された。

佳作には筑波大学大学院 システム情報工学研究科 石渡 崇晶氏、奥窪 隆文氏、本多 理紗氏による「茶系飲料業界における脱コモディティ化へ向けた施策の提案」が選出された。茶系飲料のコモディティ化の状況を、先行研究も踏まえた丁寧な分析作業が評価された。

審査会終了後、各審査員からは「データ分析手法の高さや大量のデータをいかに処理したかではなく、マーケティング的な観点からいかに仮説設定や分析を進められているかが問われる」との声が寄せられた。審査委員長からも「分析スキルが高いかどうかだけでなく、先行研究を踏まえるなどマーケティング理論との結びつきが重要である。背後にある消費者心理や行動の仮説を元とした分析が望ましい」と、総括した。

「マーケティング分析コンテスト2019」各賞受賞作品(敬称略)

Grand Prize

最優秀賞

  • 「音」から見るテレビCMの広告効果の分析

    同志社大学 文化情報学部 永冨 美里、森 達平、中江 菜々子

審査員コメント

「着眼点がユニークで良い。音の物理量を特徴量としたのは独自性が高い」

「先行研究も踏まえ、自分でデータも集めて合わせて発展させた分析をしている」

「音量と音程が広告効果量に影響するという知見は、現実に応用可能」

受賞者のコメント

最優秀賞に選出いただきまして、誠にありがとうございます。この貴重な経験を通して、班員一同成長できました。しかしこれは、原先生や研究室の先輩、同期からの支えがあっての受賞だと思います。今後も一層精進していきます。

First Prize

優秀賞

  • 民放テレビ局のゴールデンタイムにおける効果的な広告主選択

    同志社大学 文化情報学部 礒見 信司

審査員コメント

「番組単位の分析は新鮮。分析の流れもしっかりしている。」

「安定指標という独自の指標を用いて、ゴールデンタイムのジャンル別効果的広告主選択の提言に成功している。」

受賞者のコメント

この度は優秀賞に選出していただき、大変光栄に思います。この研究をこうして世に送り出せたのはまさに、ご指導いただきました原尚幸教授、沢山の助言をくださった研究室の先輩や同期のお蔭です。ありがとうございました。

Second Prize

佳作

  • 茶系飲料業界における脱コモディティ化へ向けた施策の提案

    筑波大学大学院 システム情報工学研究科 石渡 崇晶、奥窪 隆文、本多 理紗

審査員コメント

「茶系飲料のコモディティ化の状況を踏まえた施策を提案するための丹念な分析作業を行っている点が評価できる。」

「モディティ化の判定図式は良いし、出口も示し得ている。必要十分の構成で説得力が高い。」

受賞者のコメント

この度は佳作にご選出いただき大変光栄です。これもチームで試行錯誤を繰り返した結果であると感じています。お忙しい中アドバイスをくださいました中林先生、ありがとうございました。

最終候補作品

  • 潜在構造を考慮したロジットモデルに基づくTVCMによる消費者心理の 変化要因分析 ~ハーゲンダッツグリーンティーを事例として~

    上智大学大学院 理工学研究科 髙屋真菜

  • ヨーグルト類のリピート購入に向けた消費者のターゲティングと効果のあるCMの特徴の分析

    神奈川大学 工学部 横井秀祐、原田淳平

  • 生活者に刺さるネット広告の提案

    同志社大学 文化情報学部 増田愛子、銭谷優希、西本悠馬、高倉秀介

  • CM接触回数による印象度を考慮した花粉・鼻炎薬のCM提案

    同志社大学 文化情報学部 西野祐輝、山畠一晃、谷本賢太郎、中島悠太

  • テレビCMへの反復露出が消費者の意思決定プロセスに及ぼす影響

    鳥取大学 地域学部 今城鮎里

  • ファストフード利用環境と消費者価値観が購買行動に及ぼす影響について

    甲南女子大学 人間科学部心理学科 野々山恵美、小野未尋、小山みなみ、辻野智咲、野村彩乃、長谷川愛奈、福原亜弥香、藤田咲穂、松田真由子、和井田早咲

  • 読解リテラシーの高い層に刺さる広告

    横浜国立大学大学院 山下樹子

  • QR コード決済”普及へのポイント 行動経済学・マーケティング論からの提案

    横浜国立大学 畑秀典

  • マーケットメイブンへの広告戦略

    同志社大学 文化情報学部 首藤憲治

  • 市場競争における「適度な不一致」を取り巻く広告効果について

    山形大学 人文社会科学部 阿部倖久 田津宇

  • 情報処理タイプに基づいたCMクリエイティブの効果分析

    山形大学 人文社会科学部 佐々木実紅 蜂屋琴音

  • 大型総合スーパーの販売戦略の提言

    同志社大学 山地里沙

  • 有料多チャンネル放送における販売及び広告出稿戦略

    同志社大学 文化情報学部 小川裕也

  • 受験シーズンにおける機能性ヨーグルトの広告効果

    横浜国立大学 国際社会科学府 平井理華

  • 消費者の同居子に関する属性と価値観、消費意欲の関係

    横浜国立大学 国際社会科学府 松下伴理

  • TV広告・SNS・店舗マーケティングによるスマホ決済利用とその展望

    秋田県立大学 経営システム工学科 宮本道子、工藤優之

  • 乳酸菌飲料市場におけるテレビ広告の拡散効果

    山形大学 人文社会科学部 小舘菜奈