Marketing Analysis Contest

マーケティング分析コンテスト

2018

審査結果・レポート公開中

実施レポート

マーケティング分析コンテスト2018 詳報

さまざまな視点から生活者の購買要因を掘り下げてデータを分析し、斬新なビジネスの法則や新しいマーケティング指標等の発見を競う「マーケティング分析コンテスト2018」の最終審査会が2018年12月14日、野村総合研究所本社にて開催された。12度目の開催となった今回は、過去最多水準88件のレポートがあつまり、予備審査を通過した優秀な作品に対する激論の審査会となった。

第12回目を迎えた今回も例年どおりニュースリリースを中心とし、コンテストへの参加を募った。レポート提出は過去最多水準88件となり、引き続き数多くのご応募をいただくことができた。企業が単独で行う広告・マーケティング領域でのコンテストとしては、引き続き国内最大級であるといえよう。

今年の特徴は、昨年から引き続き、応募作品全体の平均レベルが高まっており、ユニークな着眼点による分析も散見された。審査員からは「今まで以上に、仮説設定と結論の導き方が重要になった」という声が多く寄せられた。内容については、テーマに対して適切な分析アプローチがとられているか、結論の妥当性・説得力などが議論に上がっていた。

今回も例年どおり12月中旬から6人の審査員による予備審査が行われ、最終審査作品を選定した。今年は例年に比べ、各審査員から選出された作品が分散しており、拮抗するレベルの中、各自が選定いただいたようだ。

最終審査会では1作品ずつ丁寧に議論がなされ、分析結果が有益なもの、分析ロジックやプロセスの優れたもの、視点や仮説設定が斬新なもの、ビジネス実務への展開が可能なものなど、多面的な評価のもと、審査が行われた。
その後、最終投票が行われたが、受賞作品の決定には最後まで白熱した議論が行われた。最終的に、最優秀賞、優秀賞、佳作を1作品ずつの選定となった。

最優秀賞には、慶應義塾大学 経済学部 中川 啓瑛氏による「ハーゲンダッツから見るTV広告とSNSマーケティング」が選出された。先行研究や文献を踏まえた上で適切に分析ができており、完成度が高かった。また、SNSを取り上げたテーマ設定に加え、結論までしっかり導けている点が高く評価された。

優秀賞には、同志社大学 文化情報学部 文化情報学科 内藤 宏明氏による「CMの広告効果に関する要因の探究と予測モデルの考案」が選出された。映像の色彩・座標をデータ化し、分析を行った。ユニークな発想と着眼点に評価が集まった。

佳作には、株式会社ミスミ 服部 達哉氏による「傾向スコアを用いた広告効果のシミュレーション~マクドナルドを事例として~」が選出された。傾向スコア法を用いた分析・考察の丁寧な進め方が評価されたほか、得られた結論も興味深いものであった。また、レポートの構成もわかりやすくまとめられていた点もポイントだった。

審査会終了後、各審査員からは「今年は審査員の得票が集中している。レベルの底上げがされているため、どのような分析手法か以上に、分析の構成や着眼点、結論の導出が議論の焦点となった」との声が寄せられた。審査委員長からは「前に比べ今年も参加者のレベルが高まっており、分析スキルも高い水準にある。受賞者を見ても、学部生の段階で高い分析力を持っていることがわかる。レポートも見やすいものも多く、分析のみならずどのように見せるかまで意識された作品も見られた。結論のまとめ方や納得度の高さが光った。」ということで、総括した。

「マーケティング分析コンテスト2018」各賞受賞作品(敬称略)

Grand Prize

最優秀賞

  • ハーゲンダッツから見るTV広告とSNSマーケティング

    慶應義塾大学 経済学部 中妻照雄研究会 中川 啓瑛

審査員コメント

「完成度の高い研究。きちんと文献も読んでいるので、深掘りの方向が良い。」

「従来型の分析だが、丁寧にデータ処理もできておりわかりやすい論文。」

「TVCMとSNSが補完的役割を果たしているという結果が興味深い。」

受賞者のコメント

この度は最優秀賞に選出して下さり、誠にありがとうございます。指導教官の中妻教授をはじめ、ご指導や助言を下さった全ての方々のお陰で、大変名誉な賞を頂く事が出来ました。皆様に心から感謝申し上げます。

First Prize

優秀賞

  • CMの広告効果に関する要因の探究と予測モデルの考案

    同志社大学 文化情報学部 文化情報学科 内藤 宏明

審査員コメント

「色彩・座標をデータ化し、新しい回帰分析手法を用いたことは高く評価できる。」

「動画データから色彩情報を抽出・分析する等、発想がユニークでおもしろい研究。」

「従来にないタイプのレポートで新鮮。」

受賞者のコメント

この度は栄えある優秀賞にお選びいただき、誠にありがとうございます。原尚幸先生、ゼミのメンバーをはじめとする多くの人の支えのお蔭で最後まで諦めずに頑張れました。今後も一層の努力をしてまいります。

Second Prize

佳作

  • 傾向スコアを用いた広告効果のシミュレーション~マクドナルドを事例として~

    株式会社ミスミ 服部 達哉

審査員コメント

「傾向スコア法を活用してバイアス補正した上で、広告接触に関する3つの広告効果を精緻に分析している。その結果、興味深い結果が得られている。」

「各クリエイティブ(訴求)が利用頻度に及ぼす影響をみており視点は良い。コンパクトだがポイントをしぼった良い論文。」

受賞者のコメント

この度はこのような賞をいただきありがとうございます。このテーマ(傾向スコア)は実務でも応用できるのではと思っていましたので、今回のこの分析が評価頂けたのは嬉しく思います。これからも精進していきたいと思います。

最終候補作品

  • 決定木分析による健康ヨーグルトの購買者像研究

    東海大学大学院 情報通信学研究科 山田紗弥、朝日弓未

  • 鼻炎薬ごとのCMと消費者価値観による施策提案

    法政大学 経営学部 星野弘樹、岡本僚太、布谷和輝、上田志織

  • ヘアケア商品の販売促進案

    東海大学 情報通信学部 寺田玲美、原健太、加藤宏暉

  • TVCMにおけるスリーヒッツ効果の検証

    東海大学 情報通信学部 富澤陽太、中嶋一馬、吉田匠

  • 説得的メッセージの情報媒体の差異に関する研究~ELMの観点から~

    慶応義塾大学 商学部 葛迫祐也

  • 証券業界における口座開設者増加に向けた広告戦略の提案

    同志社大学大学院 文化情報学部 山岸勇輝、田中弘人

  • アルバイト求人サイトの広告戦略

    同志社大学 文化情報学部 礒見信司、綛野莉甫、間嶋哲平、松山博憲、猪山陽

  • 成長市場におけるCM広告効果- バイト求人サービスから探る -

    学習院大学 経済学部 新谷啓太、石原一樹、亀山太一、坪倉香織、平田宗誉

  • テレビ広告間における交互作用―茶系飲料業界を例として

    横浜国立大学 国際社会科学府 経営学専攻 郭雪妍

  • 鼻炎薬に関するテレビ広告とチャネルが意欲の変化と購入実態へ及ぼす影響

    横浜国立大学 国際社会科学府 馮超禹

  • 人気タレントを起用したテレビCMの消費者への効果測定

    神奈川大学 工学部 経営工学科 小泉健人

  • 漫画レンタルサイトにおける最適な広告出稿戦略

    同志社大学 文化情報学部 岡村香子

  • インターネットショッピングとファストファッションから百貨店の経営戦略を打ち立てる

    名古屋大学 情報文化学部 永井志門

  • CGMが購買に繋がるとき –IRTを用いて–

    専修大学 人間科学部 安藤正和、市原拓海、河村莉奈

  • クチコミとSNSがCM効果に及ぼす影響-黒烏龍茶とマクドナルドを例に-

    筑波大学大学院 システム情報工学研究科 鈴木康介、川勾啓雅、田中元晴

  • CMの音楽の自然効果から考える購買者の購入意向をより上げる戦略の提案

    立教大学 経営学部 井上幹啓、加藤光、小栁駿、白水賢太、水谷友洋