2016年2月 2日
「ふるさと納税」を活用している人はだれ?
2008年に始まり、2014年から寄付総額が急増しているふるさと納税。寄附金額の一部が所得税及び住民税から控除されるため、実質的な自己負担をあまりしなくても地方自治体への寄付ができます。また、寄付をした地方自治体から、寄付のお礼として特産品などのお返しがもらえることもあり、活用する人が増えています。実は私も活用しており、全国の美味しい海鮮をいただくことができました。
では、このふるさと納税は、誰が活用しているのか。野村総合研究所のシングルソース調査により、活用者の特徴を分析してみました。
「ふるさと納税」の認知率は9割以上、利用率は1割程度
まずは、どのくらいの人が「ふるさと納税」を知っているのか、また、どのくらいの人がこの制度を利用しているのかを見てみましょう。下のグラフは、12月下旬に野村総合研究所のシングルソース調査にて、ふるさと納税についての調査を行った結果です。これを見ると、9割を超える人がふるさと納税を知っていることがわかります(名前を知っている程度の人も含まれます)。しかし、実際にこの制度を利用している人は、1割程度にとどまっていることがわかります。さて、ではどのような人が利用する傾向にあるのでしょうか。
出典)野村総合研究所 2015年11-12月期シングルソースデータ(関東エリア、男女20-50代、n=2,267)
「ふるさと納税」は、20~30代の活用が多い。テレビ番組の特集を見たことが利用にきっかけ?
「ふるさと納税」の利用率を年代別に見てみましょう。年収が高い方が利用率も高いと考えられるため、世帯年収ごとに年代別利用率を算出しました。下のグラフがこの結果ですが、各世帯年収のグループで、20代、30代の利用率が高い傾向があります。特に、世帯年収が700万円以上の30代は、2割以上がふるさと納税を活用しています。
出典)野村総合研究所 2015年11-12月期シングルソースデータ(関東エリア、男女20-50代、n=2,267)
もうひとつ、利用者の分析を行いました。テレビ番組内で紹介される「ふるさと納税」の活用についての特集に接触した人と接触していない人で利用率に差があるかという分析です。以下のグラフは、このシングルソース調査が始まった2015年11月28日から「ふるさと納税」の利用実態調査を行った12月19日の間に「ふるさと納税」関連の情報を扱っていた10番組のうち、ひとつでも視聴した人とひとつも視聴していない人の利用率です。これを見ると、番組を視聴した人の方が、「ふるさと納税」の利用率が高いことがわかります。
出典)野村総合研究所 2015年11-12月期シングルソースデータ(関東エリア、男女20-50代、n=2,267)
番組を見る前から利用を行なっていただけの可能性もありますが、「締切迫る!」「寄付先人気ランキング」「まだ間に合う」など、利用を喚起する情報に触れ、実際に活用してみた人が多かったかもしれません。名前は知っていても、具体的な活用法やメリットを知らず利用に至っていない人が多く、このような内容の理解が進めば、もっと利用がされるようになるのかもしれません。
と言うことは、昨年は「ふるさと納税」を行わなかった皆さんも、この記事を見て、今年はチャレンジしてみるかもしれませんね。
(梶原 光徳)