InstagramとXのユーザー特性の違い
SNSへの出稿は+αの立ち位置となっている
弊社が調査を行ったプロモーション事例の中でテレビとデジタルメディアでの出稿を同時に行った31事例の内訳をみると、大多数が2~3種類のビークルを活用したプロモーションとなっておりその多くがテレビCMとYouTube広告を組み合わせたものであった。次点で、XやInstagramの出稿が検討されている状況であり、両者はテレビCMとYouTubeに対してプラスアルファの媒体として検討されていると言える。
図1: テレビCMありのプロモーション時の広告出稿ビークル数とその内訳

Xは徹底探索型、Instagramは利便性重視
XやInstagramがどちらもプラスアルファの媒体として検討されているのであれば、両ビークルでリーチできる人物の特性の違いを把握しておくことは重要である。コアユーザーを毎日1時間以上利用していると回答した人として定義し、両コアユーザーの特性を比較した。
Xのコアユーザーは価格感度が高く、購入するモノ・サービスに強いこだわりを持つ「徹底探索消費」型の人物が多く、Instagramのコアユーザーは、価格感度が低く、購入するモノ・サービスへのこだわりがあまりない「利便性消費」型の人物が多いことがわかった。また平均年収はInstagramコアユーザーのほうが高いが、貯蓄額はXコアユーザーのほうが高く平均年齢はXコアユーザーのほうが高く、既婚率はInstagramコアユーザーのほうが高い。
図2: X(旧Twitter)、Instagramコアユーザーのサイコグラフィック属性

出所)NRI Insight Signal調査(関東一都六県在住の生活者を対象としたWeb調査、各回約3,000ss)
UIの差を生活者は使い分けている
ユーザーが各SNSをどのような情報を探索する目的で利用しているかを把握するために、各SNSについて利用理由を回答してもらい、その傾向をコレスポンデンス分析を用いて下図のように結果を示した。赤い点がSNSサービスを示しており、青い点が利用理由を表している。赤い点と青い点の距離が近いほど、そのサービスを利用する理由として回答されている傾向が高い。
Xは「災害、事件、電車遅延などの状況をリアルタイムで知りたいから」や「最新の情報をいち早く入手したいから」のリアルタイム性の高い情報を求めているのに対して、Instagramでは「撮影された写真や動画が多く、感覚的に理解しやすいから」や「実際の利用者の生の声を直接知りたいから」など感覚的な捉えやすさを重視しており、両サービスのUI上の利点に応じて生活者もSNSの使い分けを行っていることが確認できた。
図3:各SNS情報検索理由のコレスポンデンス分析

出所)NRI Insight Signal調査(関東一都六県在住の生活者を対象としたWeb調査、各回約3,000ss)
ビークル特性の違いから出し分けが重要
XとInstagramではコアユーザーの特性の違いや、ユーザーが探そうとしている情報においても傾向の違いが見られるため、それらを理解してクリエイティブの出し分けがプロモーション効果を高めるためには重要である。一例として、Xではゲームやタレントなど生活者にリポストしたいと思わせるような「おもしろい」「好きだな」と感じさせるコンテンツを提示し、拡散を狙うことが有効であると考えられる。Instagramでは、「おすすめ」の出し分けをセグメントごとに実施することで「自分向け」感を演出することで広告効果を高めることが期待できる。
図4: X(旧Twitter)とInstagramの相違点まとめ
