2021年12月15日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」

サステナマーケティングは"効果の発揮しどころ"を見つける

注目が増すサスティナビリティはマーケティングに効果があるのかという疑問の声

持続可能な開発目標として国連から発表されたSDGsは、日々生活する中でも見聞きする機会が増えている。先日のvol46レポートでも紹介した通り、「SDGs」や「サスティナビリティ」のワード自体も認知率が高まっている。それはビジネスシーンに限らず生活者全体で起きている。拡大するサスティナビリティの波は、BtoCマーケティングにも及んでおり、重要性を増している状況だ。

一方で、商品やサービスの利用・購買に、「サスティナビリティ」は効果があるのだろうか、というマーケティング担当者の疑問の声は多い。本レポートではサスティナビリティマーケティングの効果について、事例をご紹介する。

コモディティ化したカテゴリで"最後の一押し"となったサステナ

1では、電気小売サービスAを事例に、商品・サービス要素と利用意向の関係を見たものである(決定木分析)。サービスの利用について、「料金の安さ」や「サポートの充実度」が主だった決め手となっている。このカテゴリでは、「価格」や「機能」が評価されやすく、「サステナ」に関する項目は重要な変数として確認できなかった。

 

図1 決定木/商品・サービス要素と利用意向の関係(電気小売A)marketing_v63_1.jpg

一方、図2は、お茶飲料Bでの分析事例である。まずは、「味のおいしさ」「品質」と想像しやすい項目がお茶を購入する決め手として挙がっている。面白い結果だったのは「環境に優しい」といった「サステナ」に関する項目が最後の決め手となった点である。

図2 決定木/商品・サービス要素と購入意向の関係(お茶飲料B)marketing_v63_2.jpg

お茶のようにコモディティ化したカテゴリでは競合商品との差別化が難しい。そのため、「価格」や「機能」だけでは購入の決め手となりづらく、選ばれる最後の一押しとして「サステナ」が効果を発揮していた。

時流を捉えたマーケティングのためにサステナが活躍する切り口を見つける

上記は、あくまで各商材の事例であるが、ターゲットやKPIによってサステナが効果を発揮するケースがあることがわかる。とある商品では、サステナ要素は「商品購入」ではなく、企業の「株式保有」に効果があることがわかっている。

生活者のサステナビリティに関する理解や注目が高まっているということは、マーケティング上の重要なインサイトとなりつつあるということだ。また、常に時流を捉えた施策を採用できるというのは優れたマーケターの条件でもある。どんな市場環境でどのセグメントのどのKPIに対しては効果を発揮するのか、「サステナ」の効果の発揮しどころを発見し、有効に活用することが求められる。

出所)NRI インサイトシグナル シングルソースデータ

NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 主任コンサルタント 森田 光一

NRIマーケティングサイエンスコンサルティング部では、シングルソースデータによる生活者の行動を毎日継続的に収集しております。お客様のテーマや課題にあわせて、データの追加調査や分析をおこない、マーケティング課題解決のお手伝いをいたしますので、こちらより、お気軽にお問合せください。