2021年12月 1日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
繋がるツールから検索ツールに "リアルさ"を求めSNSで検索する生活者たち
多様化する検索行動。化粧品に関してはSNS投稿をきっかけに購買に至る生活者も多数存在
「Instagram(インスタグラム)」や「Twitter(ツイッター)」等のSNSは、コミュニケーションツールとして使用するのが一般的であろう。だが最近では、検索サイトと同じように、情報収集のメインツールとしてSNSを活用する生活者も存在する。
図1は商品・サービスの情報収集を行う際に、まずはじめに何で検索するかを示したグラフである。SNSを利用した初回検索の割合が高いカテゴリは、「化粧品」「お菓子」「衣類」であった。また、調査を行った19カテゴリのうち、14カテゴリにおいて、WEB検索の次にSNSでの検索が多いという結果になった。
図1:各カテゴリごとの初回検索媒体
(調査を行った19カテゴリのうち、SNS検索に関して上位・中位・下位のカテゴリを抜粋)
では、SNSで検索した生活者は商品の購買やサービスの利用に至っているのだろうか。化粧品に関してSNS投稿の購買への影響を調査した結果を図2に示す。全年代においても、化粧品は全カテゴリ平均より購買に至った割合が1.5倍と、他カテゴリよりSNSによる情報収集の影響を受けやすい商材であることがわかった。さらに若年層においてはこの傾向は大きく、20代以下で比較すると化粧品は全カテゴリ平均より購買に至った割合が1.8倍となる。若年層をターゲットとする化粧品のコミュニケーションにおいては、SNSは到底無視できない存在である。
図2:SNS投稿の購買への影響(全年代 N=3,216、20代以下=554)
実際に使用している人の感想など、リアルな意見を収集できるのがSNSの強みか
なぜ若年層が化粧品に関してSNSで情報収集を行うのか、化粧品の初回検索媒体としてSNSを利用する人の自由回答を抜粋したものが図3である。重要視する項目の中で、最も回答数が多かったのは、「リアルさ」であった。より「自分に合ったものを選びたい」という気持ちから、一般人の正直なレビューや、自分に近い肌質や悩みを持ったユーザーの投稿を収集し、購買の参考にしているのだろう。
また、「一番見やすくて、探しやすいから」といった、検索ツールとしての利便性に関するコメントも見受けられた。SNS特有のタグ検索などの機能は、欲しい情報に簡単に近づくことができる便利な存在なのだろう。多様化する生活者の情報収集実態にも着目したコミュニケーションの在り方を検討していくことが求められる。
図3:化粧品の初回検索としてSNSを使用する理由
(N=198 から男女20代を中心に抜粋)
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースデータ(2021年7~9月、関東在住男女20~69歳、N=3,216)
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 コンサルタント 栗山千嵯