2021年9月22日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
高額家電製品購入をECで完結する層は1割を越える一方、ショールーミングは進まず。店頭訪問層は店頭購入している。
高額家電製品の検討~購入において、店頭を訪問せずECで完結する層は1割を超える
外出は憚られる。それでも家電はアップデートされる。続くコロナ禍の中、購入前に慎重な検討を要する高額家電の購入のプロセスについて調査を行った。
図1:エアコン、掃除機の購入プロセス分布
高額家電製品の代表格であるエアコンと掃除機について検討時に店頭・ECのいずれか、あるいは両方訪問したか、購入時に店頭・ECのいずれで購入したか聴取したところ、エアコンについては11.5%、掃除機については25.9%がECサイトのみで検討~購入を完結させていた。また、店頭を訪問しつつもECサイトで購入した層を含めると、4人に1人はECサイトで購入していることがわかった。
特にエアコンは設置可能性や施工の手配など購入に付随する検討ポイントが多く、対面相談できないEC完結購入はハードルが高い。エアコンのEC完結率が家電製品の最低ラインとみなすと、高額家電製品をECのみで検討~購入する層は、1割を超えていると予想される。
ショールーミングは年代問わず進まず。若年層もECで下調べのうえ店頭購入が大半。
では年代別で見てみると購入プロセスはどのように分布するのか。年代×購入プロセスを分析したのが図2である。
図2:年代ごと購入プロセス分布(掃除機・エアコン合算)
50-60代ではECへの接触なしに店頭で購入する層が38.5%と大きな比率を占めたが、これは想像に難くない。
他方目を引くのは若年層において、ECで下調べのうえ店頭購入という「下調べ購入層」が63.6%も出た点だ。同じく店頭・EC双方を訪問する「ショールーミング購入層」は4.5%にとどまっており、若年層においてもいまだ店頭購入が主流であることがわかる。大きい買い物においては実物を見て納得してから購入したい、買う気になったらその場で購入したいということなのかもしれない。
少なくとも現状において店頭を訪問する顧客は、店頭購入をしている。顧客管理や在庫管理の観点で店頭からECへの誘導を狙う場合は、もう一息の工夫が必要であると考えられる。
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースデータ
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 副主任コンサルタント 杉浦萌子