2021年9月 9日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
ロイヤルカスタマー対策は、お茶は男性、スマホは女性を囲い込め
生活者の安さ重視は高位安定だが同時にPBを含め、ブランド志向も高まっている
2020年春から夏に一時的に大きく高まった消費価値観である「安さ重視」の伸びは落ち着いたが、2年前と比較すると高い水準で推移している。コロナ禍を経て消費者の財布の紐は以前にも増して締まっていることがうかがえる。一方で直近2年間の消費価値観の推移を見ると、プライベートブランド(PB)も含めて、ブランド力の影響が高まっているようだ。近年はコンビニのPBを筆頭に、プレミアムラインの商品群が拡充されたり、100円均一商品も展開されたりと、"安い"以外の訴求がなされている。
図1:消費価値観の推移
電気製品は飲料や日用品よりもブランドロイヤリティが低く、スイッチされる恐れあり
一般に、食品や日用品などは、単価も小さくこだわりを持たれないと考えられている。しかし実際にはブランドロイヤリティは高く、特に洗剤などの日用品は生活者の5割以上が次回購入する際に同じブランドを購入したいと考えている。10代や20代などライフステージの初期に、最初の自己購買の段階でトライアルしてもらい、その後ロイヤリティ化していく戦略がよさそうだ。一方、電気製品は次の買い替え時にも同じブランドを購入したい割合は4割以下に留まっている。ブランドよりも購入時の目的に合った機能やデザインで選ばれる傾向にある。そのため、その時々のトレンドを反映した商品開発が重要だと考えられる。
図2:次回購入時に「同じブランドを購入したい」割合
お茶飲料は男性向けに、パソコン・スマホは女性向けのクリエイティブを
図3:次回購入時に「同じブランドを購入したい」割合(性年代別)
性年代別に見ると、コンビニで買われたり仕事の途中で飲まれることの多いお茶飲料では男性の同一ブランド購入率が高い。一方、パソコン・スマホは特に中高年女性でブランドロイヤリティが高い。特にスマホは、ブランドを変えると使い勝手が変わり、操作に慣れるまでに日常のコミュニケーションに支障をきたすことを避けようとする意識の表れであろう。お茶飲料は男性若年層向け、パソコン・スマホは中高年女性向けのクリエイティブで訴求していくのが有効であろう。
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースデータ
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 主任コンサルタント 高沢美恵子