2021年5月19日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」

「コロナ慣れ」した生活者は安かろう悪かろうを避けて商品を選ぶ

コロナウイルス感染拡大から1年経過、コロナに慣れた生活者は元通りに

緊急事態宣言(1回目)の発令から1年が経過した。コロナウイルスの感染拡大は行動面でも心理面でも生活者に対し多くの変化をもたらしたが、1年が経過した今「コロナ慣れ」と言われるように、危機意識の低下が危惧されている。

一方、「コロナ慣れ」は感染防止行動だけではなく、日々の消費行動にも見られ、感染拡大直後に生じた様々な変化は収束に向かっている。

図1 緊急事態宣言を挟んだコロナ前後の生活者変化
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*1:健康の悩み保有率 *2:一日あたり *3:主要サイト *4:趣味 

1では、コロナ前後での生活者変化について、特徴的な項目を見ている。コロナ前(201910月)から、感染拡大直後(20204月)、そして現在(20213月)で見ると、一時は拡大し生活者を悩ませていた「ストレス」や「頭痛」といった健康の悩み、マスク着用に関連した「肌荒れ」についても現在では収束しつつある。また、テレワーク率や電車乗車率から外出率も元に戻りつつあることがわかる。もちろん、Web利用やゲームなど定着した行動もあるが、多くの面で生活者は元通りに向かっている。

生活者は安かろう悪かろうを避け、品質を重視してモノを買う

2では消費価値観の変化を見ている。モノの買い方についても多くの面で元に戻る傾向がある。代表的なものが「安さ重視」の傾向で、感染拡大直後は景況感の悪化から上昇していたが、すぐに収まっている。一方、上昇を続けているのが「品質重視」の消費傾向である。「デザインや見た目の重視度」が下降していることからも、商品自体の品質や使いやすさがこれまで以上に重視されるようになっている。

図2 消費価値観の時系列変化(2019.03~2020.12)
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コロナ禍では自粛による反動買いやプチ贅沢購買も見られたため、高品質商品・サービスの良さを改めて実感した人も少なくないであろう。また、ネットショッピングで購入した商品が、写真の印象と違った、すぐに壊れてしまったなどのトラブルもよく耳にした。ひと通り失敗を経験したことも影響したのではないだろうか。

安かろう悪かろうを経験した生活者の目はこれまで以上に厳しい。生活者にとっていかに役立つかがこれからのマーケティングキーワードになる。

出所)NRI インサイトシグナル シングルソーパネルスデータ

NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 主任コンサルタント 森田 光一

NRIマーケティングサイエンスコンサルティング部では、シングルソースデータによる生活者の行動を毎日継続的に収集しております。お客様のテーマや課題にあわせて、データの追加調査や分析をおこない、マーケティング課題解決のお手伝いをいたしますので、こちらより、お気軽にお問合せください。