2021年2月12日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
コロナ不安は消費先進層を直撃。在宅時の嗜好品消費では光明。
コロナに対する不安は時系列で変動するが、消費先進層では不安が高止まり
2021年1月7日、首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言が発令され、2月には、3月7日まで期間が延長されることが決定された。2回目の緊急事態宣言発令の背景には、Go To キャンペーンや年末特有の人の動きが影響していると言われることも多いが、生活者の意識の変化はどのようなものだったのだろうか。
図1 新型コロナウイルス感染拡大への不安
図1は、2020年3月から2021年1月までの、新型コロナウイルス感染拡大に対する不安度の推移を表している。4月に急上昇した不安度は、5月にいったん落ち着いたものの、感染者数の拡大や変異ウイルスについて騒がれ始めた11月から、再び上昇しており、直近の1月まで上昇傾向が続いている。
図2 新型コロナウイルス感染拡大への不安
(消費先進度別※)
図2をみると、不安度は消費先進度(※)別に異なることがわかる。消費先進層で不安度が高く、しかも時期に関わらず一貫して高い点が特徴的だ。消費先進層とは、人よりも先に新しいものを取り入れる層を指す。情報感度や人との交流頻度が高く、コロナについての情報や周りの人の噂にも多く触れるため、不安感も強まると考えられる。追従層や大衆層についても、9月にいったん不安度が和らいだものの、直近では11月から年始にかけて不安度が上昇している。
消費先進層では嗜好品などの在宅生活を前向きに過ごせる消費で拡大
コロナ不安が強い消費先進層の消費スタイルは、2回目の緊急事態宣言下でどう変化するのだろうか。図3は、消費先進層が発令後に購入・検討が増えると回答した商材・サービスを、コロナ不安度別に掲載している。
図3 消費先進層で緊急事態宣言発令後に購入・検討が増える商材・サービス
(上位15項目、21年1月9日)
コロナ不安が強い人では、チョコレートやアルコール飲料など、食品・飲料の嗜好品への消費が増えている。また、食材宅配サービスやゲームソフトなど、在宅時に利用する商品・サービスも需要増となっている。消費先進層はコロナ不安の影響を強く受けるものの、かえって在宅生活を積極的に楽しむための商品・サービスの消費は拡大すると思われる。
※消費先進度の定義
「以下のタイプの中で、新しい商品やサービスを利用する際に、あなたは、どれにもっとも近いとお考えになりますか。」の設問について、
「人よりも先に新しい商品やサービスを利用したり、新しいお店に行くほうである」の回答者を「先進層」、
「少し様子をみてから、新しい商品やサービスを利用したり、新しいお店に行くほうである」の回答者を「追従層」、
「一般に普及してから、新しい商品やサービスを利用したり、新しいお店に行くほうである」の回答者を「大衆層」、
「新しい商品やサービス、お店には関心がないほうである」の回答者を「無関心層」と分類
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースパネルデータ
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 田中渚子