2020年12月11日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」

"断捨離" で拡大したフリマアプリ、購入チャネルとしての利用も増加

生活者全体に利用が広がるフリマアプリ中高年層にも定着

 新型コロナの流行による断続的な外出自粛、勤め先での出勤制限やテレワークの浸透などにより、「断捨離」が注目されている。今回は「断捨離」の際の利用ツールと見られてきたフリマアプリの利用状況について整理する。

図1 メルカリ利用率の推移

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 代表的なフリマアプリの一つであるメルカリの利用率(図1)はここ数年右肩上がりで、特に女性20-30代での利用率は50%に達する勢いである。さらにコロナ期には男女40-50代での利用率が伸び、生活者全体でも3割弱まで伸びた。一方で男性20-30代ではコロナ期を通じて利用率が低迷している。女性20-30代の伸び率も鈍化しており、若年層における利用率は頭打ちの傾向にある。

 また、メルカリを利用している人のイノベーター度をみると、先進的な価値観の人だけではなく、追従層や大衆層における利用率が高まってきており、生活者全般に浸透しつつある。フリマアプリは生活者の利用ツールとして一般化したといえるであろう。

"フリマアプリで断捨離"は意識のみ実際は購入・出品の両面利用が多い

 生活者は、フリマアプリをどう利用しているのか。 フリマアプリの利用内訳を「購入のみ」「購入と出品」「出品のみ」の3種類に分けると、各セグメントのフリマアプリの利用方法が明らかになる(図2)。

図2 フリマアプリの利用状況

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 出品だけでなく購入も利用する生活者が最も高くなっており、フリマアプリは、単なる"断捨離"のためだけに使われているわけではない。属性別でみると、「出品のみ」割合が最も高いのは女性20-30代で、8.5%が出品しているが購入していない。この層はコロナ前も「出品のみ」割合が高く"断捨離"を継続的にしている層と言える。コロナ期にフリマアプリ利用が伸びた男女40-50代に着目すると、女性40-50代では「出品のみ」割合が高いが、男性40-50代では「購入のみ」割合が高い。女性よりも男性の「出品のみ」利用が低い傾向は20-30代でも同様である。男性20-30代の「出品のみ」割合は女性20-30代の半分以下となっており、相対的に「購入のみ」や「購入と出品」の割合が高くなっている。

 "断捨離"ツールと見られてきたフリマアプリだが、セグメントにより利用方法は異なるようだ。実のところ男性ではフリマアプリの利用が、モノが増える要因になっているかもしれない。ニューノーマルのライフスタイルを支えるツールとして一般化したフリアアプリの今後の使われ方が注目される。

出所)NRI インサイトシグナル シングルソースパネルデータ

NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 高沢美恵子 主任コンサルタント

NRIマーケティングサイエンスコンサルティング部では、シングルソースデータによる生活者の行動を毎日継続的に収集しております。お客様のテーマや課題にあわせて、データの追加調査や分析をおこない、マーケティング課題解決のお手伝いをいたしますので、こちらより、お気軽にお問合せください。