2020年7月21日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
「保険契約の見直し層が求める"オンライン対面営業" 」
コロナ期に入り、新たに生命保険の加入・見直しを検討している層は13.8%
コロナウイルスの感染拡大で、生活者の行動・価値観は大きく変化している。特に自身や家族の健康が危険にさらされる中で、改めて生命保険について考え直した方も多いだろう。そこで、本レポートでは生命保険契約について考察したい。
図表1 世帯年収別の生保加入・見直し意向率
まず、図表1を見てみよう。コロナウイルス感染拡大に関連して、新たに生命保険の加入・見直し検討するようになった割合を、生活者全体と世帯年収別に示している。生活者全体では、生命保険の加入・見直しをしようと、「強く思った」「してもよいと思った」と回答した割合は、13.8%だった。年収別に見てみると、301~500万円と601万円~1,500万円での加入・見直し率が高い。301~500万円の山では20代を中心に生保非加入者が新たに新規加入を検討しており、コロナ期の不安感からの加入増だった。発見だったのは、601~1,500万円の山で40~50代が中心に現契約の見直しや保障内容の追加の意向が高まっていたことだ。コロナをきっかけに現契約の確認・見直しがされている。
対面営業は嫌?それでも簡単には選べない
保険契約の見直し意向がある彼らをどのようにして刈り取るべきか。契約見直し率の高い世帯年収601~1,500万円の層について、図表2では対面営業・オンライン対面に対する態度を見ている。
図表2 世帯年収601~1,500万円層対面営業・オンライン対面への態度
コロナ期での対面での説明が困難になる中、コロナウイルスについて「とても不安」「まあ不安」と回答した層(=コロナ不安層)は、対面営業に不安を感じる割合が同層全体に比べて高く、やはり対面で説明を受けることに忌避感を示しているようだ。では、オンラインでの契約で良しとしているかというと、具体的な説明は受けたいようで、オンライン「対面」での説明を希望する割合も高い傾向がある。実際に対面することは不安だが、オンラインでも良いから直接説明も受けたい、ということが伺える。世帯年収601~1,500万円のコロナ不安層には、オンライン対面営業を仕掛けたい。
デジタルリテラシーの拡大が新機軸となるか
今後もしばらくは対面営業が困難な状況は続くだろう。一方、そんな中でも直接説明を受けたいというニーズはなくならない。対面営業の良さを維持しつつWithコロナに対応するために、今後のオプションは対面営業・オンライン対面営業・オンライン契約となる。そして、デジタルリテラシーが急拡大する中、オンライン対面営業は存在感を増していく契約スタイルとなるだろう。コロナ期のマーケティングには、誰がオンライン対面を求めているのか、増えているのか、減っているのか。データとファクトによる、より解像度を高めた理解と仕掛けが必要となる。
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースパネルデータ
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 森田光一 主任コンサルタント