2020年7月13日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
「生活に根づいたプレーンヨーグルト、未だに拡大するプレミアムアイス」
プレミアムアイスの購入頻度は引き続き拡大中。プリンやゼリーなどはコロナ前に戻りつつある
7月10日、イベントの開催制限が緩和され、7月22日からはGo To トラベルキャンペーンが開始されるなど、経済活動が動きつつある。その一方、東京都では、連日200名を超える新規感染者が確認されるなど、企業のマーケターも、今後の戦略の見直しに苦慮しているのではないだろうか。NRIでは毎月、生活者をトラッキング調査しており、その結果から、コロナにより「一時的に変化しただけのもの」、「一時的でなく、生活に根づいたもの」、「未だに変化し続けているもの」を抽出し、今後の予測に繋げている。ということで今回は、スイーツやデザート分野についてレポートする。
コンビニやスーパーにおける、デザートやスイーツの購入頻度の変化
※この1ヵ月の間で〝(増えた+やや増えた)-(やや減った+減った)"
コンビニやスーパーにおける、デザートやスイーツの購入頻度の変化(性年代別、7月4日)
※この1ヵ月の間で〝(増えた+やや増えた)-(やや減った+減った)"
緊急事態宣言真っただ中(4月25日)、終了直前(5月16日)、解除後約1ヶ月(7月4日)の3時点で、コンビニやスーパーでデザートやスイーツの購入頻度の変化を調査した。まず手作りスイーツや既製品のプリン、ゼリーだが、これらは当初大きく数字を下げたものの直近はほぼ持ち直しており「一時的に変化したもの」といえる。外出が制限され、緊急性も高くないため、当初は影響を受けたが、元に戻ってきたのだろう。続いてヨーグルトではあるが、継続的に高い数字が続いている。ヨーグルトに対してはデザートというより免疫を高めようという側面が強く作用しているようで、「一時的でなく、生活に根づいたもの」 といえるのではないだろうか。最後にプレミアムアイスだが、非常に興味深い動きをしている。当初は他のスイーツ同様、緊急性も低く、単価も高いためか大きく数字を下げた。しかしながら、緊急事態宣言の後半や解除後は非常に大きな伸びを示している。外食やお出かけができない分、少しぐらいの贅沢やストレス発散のため、高価なアイスに手が届く。この傾向は現在も拡大傾向にあり、「未だに変化し続けているもの」といえよう。
プレミアムアイスの購入頻度を牽引するのは、ニューノーマルに順応する20-30年代男女
現在も拡大傾向にあるプレミアムアイスだが、これを牽引しているのはどの層か、7月4日の結果を性年代別に分析する。すると、男女とも、20代、30代での上昇幅が非常に大きい。金銭的に余裕があるための行動というより、ストレス発散として、"小さな幸せ"を求めているのかもしれない。また、同じ世代で目立っていたのがヨーグルトの購入。小さな幸せだけでなく、若いうちから免疫を付けようという堅実な考えによるものである。コロナ感染後のニューノーマルへ順応しようとする柔軟な姿勢を一番持ち合わしているのは、やはり若年層であるといえそうである。
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースパネルデータ
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 松本崇雄