2020年7月 7日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
「中・高齢者にも浸透する『ネット通販』の日常利用」
新型コロナによる生活者の将来シリーズも、今回で第10回目も迎えた。今回はチャネル利用の変化について将来展望をしてみたい。
コロナでも利用頻度は変わらなかったコンビニ、男女ともに利用が拡大した食品スーパー
2019年の5月と2020年の5月で、チャネルの利用状況を性・年代別で比較した。利用が変化していないチャネルの代表が「コンビニエンスストア」である。週2回以上の利用割合をみると、39.6%が39.1%であり、利用頻度はまったく変わっていない。性・年代別でみても、ほとんどの層で利用頻度が変わっておらず、コロナウイルスの影響は受けていない。
一方で、「食品スーパー」の週2回以上の利用割合をみると、すべての年代で利用頻度が高まっている。もともと女性の利用頻度が高いチャネルではあるが、男女ともに、利用頻度は増加している。外出自粛期間中でも、食品スーパーの利用だけは対象外になっていたことが多く、その施策が反映された結果だ。特に、利用頻度の低い男性でも利用が増加しており、男性における食品スーパーの利用は、今後の新しい生活様式になりえるだろう。
50代以上の中・高齢者にも浸透するAmazonウィークリーユーザー
ネット通販の利用も大幅に拡大した。Amazonを週1回以上利用している割合は、25.5%が29.4%まで高まっている。雑誌・カタログ通販やテレビショッピングの利用頻度は変化しておらず、ネット通販だけが拡大した形だ。
利用頻度の高い20~30代だけではなく、男性50代以上や、女性60代でも利用が拡大している。また、月1回以上の利用者の割合は変化しておらず、Amazonを週1回以上の高頻度で利用する人が増えたことが今回の特徴である。
ネット通販の利便性を経験した人は継続的に利用することが多い。コロナ期の生活を通じて、中・高齢者においても、日常的にAmazonなどのネット通販を使いこなす生活様式が浸透していくだろう。
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースパネルデータ
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 部長 塩崎潤一