2020年6月 3日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
「ゴールデンタイムのテレビ視聴が増え、深夜はネットに走る若者」
若年層のテレビ視聴はゴールデンタイムで拡大するものの、深夜では伸びず
4月の緊急事態宣言発令から約2か月が経とうとしている。リモートワークやオンライン授業といった「ニューノーマル」な生活様式にも慣れてきた頃ではないだろうか。通勤・通学等の移動時間が減った分、家で自由に過ごせる「おうち時間」が増え、メディア利用も以前に比べて増えてきている。今回は、コロナ期における20代若者のメディア利用の変化を見ていく。
図表1 時間帯別のテレビ視聴の割合
図表1は、昨年と今年の3- 4月のテレビ視聴の変化を時間帯別にまとめたものである。生活者全体(20-60代)ではほとんどの時間帯で視聴割合が増加しており、平均してテレビを視聴する人が増えた。早朝の視聴割合が減少しているが、これは多くの人が外出自粛期間中に「遅寝遅起き」の生活スタイルに移行した結果だ。
一方、20代若者のテレビ視聴はどのように変化しているだろうか。昼・夜の視聴割合は増加しているが、早朝に加えて深夜(24時-26時)の視聴割合も減少している。つまり、自粛期間中にテレビを視聴する20代若者は増えたが、深夜帯にテレビを見る人は増えていない。
若年層の深夜帯はネット利用が大幅拡大
20代の若者は自粛期間中の深夜帯に何をする時間が増えたのだろうか。図表2は、外出自粛期間中の深夜帯で増加した行動をまとめたものである。生活者全体では約半数の人がテレビ視聴の時間が増えたと回答し、最も多い回答となった。一方、20代の過ごし方を見てみると、過ごす時間が最も増えたものはネット動画視聴、その次がSNSやサイト閲覧となっている。つまり、20代は深夜にテレビ視聴よりもスマートフォン等を用いてメディア利用を楽しむ時間が増えたと感じていることになる。
図表2 外出自粛期間の深夜帯で増加した行動
20代のメディア利用は深夜24時頃を境に、テレビ視聴からスマートフォン利用へ変化していると考えられる。つまり、コロナ期の20代に対しては、深夜前まではテレビCMでリーチし、深夜帯ではでデジタルメディアでリーチした方が効率性が高いと言えるだろう。
コロナ期を通して変化した若年層のライフスタイルは、これからもニューノーマルとして続くことが考えられる。今回のメディア利用の変化は、アフターコロナ期・Withコロナ期になっても、メディア接触の形として定着していく可能性がある。
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースパネルデータ
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 コンサルタント 小野真依