Marketing Analysis Contest

マーケティング分析コンテスト

2020

審査結果・レポート公開中

2020年審査会レポート

マーケティング分析コンテスト2020 詳報

さまざまな視点から生活者の購買要因を掘り下げてデータを分析し、斬新なビジネスの法則や新しいマーケティング指標等の発見を競う「マーケティング分析コンテスト2020」の最終審査会が2020年12月8日、野村総合研究所本社にて開催された。14度目の開催となった今回は、コロナ禍にもかかわらず110件のレポートが集まり、予備審査を通過した優秀な作品に対する激論の審査会となった。また、今回は初のオンラインでの審査会となった。

第14回目を迎えた今回も例年どおりニュースリリースを中心とし、コンテストへの参加を募った。レポート提出は110件となり、引き続き数多くのご応募をいただくことができた。企業が単独で行う広告・マーケティング領域でのコンテストとしては、引き続き国内最大級であるといえよう。

今年の特徴は、昨年から引き続き、応募作品全体の平均レベルが高まっており、分析手法での差がさらになくなりつつある状況。審査員からは「例年に比べ、商学部や経済学部などの学生の参加も増え、着眼点の優れた仮説設定のレポートも散見された」との声も挙がった。

今回も例年どおり11月中旬から6人の審査員による予備審査が行われ、最終審査作品を選定した。最終審査会では1作品ずつ丁寧に議論がなされ、分析結果が有益なもの、分析ロジックやプロセスの優れたもの、視点や仮説設定が斬新なもの、ビジネス実務への展開が可能なものなど、多面的な評価のもと、審査がおこなわれた。

その後、最終投票がおこなわれたが、受賞作品の決定には最後まで白熱した議論が行われた。最終的に、最優秀賞、優秀賞、佳作を1作品ずつの選定となった。

最優秀賞には、一橋大学大学院 経営管理研究科 大熊 佑翠氏、一橋大学 商学部 畝川 隆宏氏による「TVCM出稿に適さない消費者グループの分析~TV無視聴者と態度非変容者の解明~」が選出された。「TV無視聴層」と「態度非変容層」に分けた着眼点と分析の緻密な掘り下げが高く評価された。

優秀賞には、同志社大学 文化情報学部の増田 愛子氏による「テレビCMの出稿配分最適化」が選出された。膨大なデータを用いて、たくさんの製品カテゴリーに対する解析を行い、出稿配分計画を提示している点も評価された。

佳作には一橋大学 商学部 小川 遼人氏 高橋 優太郎氏 宋 賢智氏による「エモーショナルマーケティングによる広告効果の分析」が選出された。感情訴求型の広告の効果について導出された結果が評価された

審査会終了後、各審査員からは「今回から新たに追加された消費行動データが活用され、マーケティング的な観点からの仮説設定や分析を進めている作品が多くなった」との声が寄せられた。審査委員長からも「本年は、消費者行動に着目したレポートが多かった。必要データも拡充されたこともあり、立てた仮説について丁寧に分析できている。また、例年に比べ、商学部や経済学部などの学生の参加が増え、データ分析の裾野が広がっている」と、総括した。

「マーケティング分析コンテスト2020」各賞受賞作品(敬称略)

Grand Prize

最優秀賞

  • TVCM出稿に適さない消費者グループの分析
    ~TV無視聴者と態度非変容者の解明~

    一橋大学大学院 経営管理研究科 大熊 佑翠
    一橋大学 商学部 畝川 隆宏

審査員コメント

「分析の緻密な掘り下げがなされている点が他の類似のレポートと比べて抜きんでている。丹念な分析努力を評価したい」

「データを非常に丁寧に扱って、分析も丁寧である」

「「TV無視聴層」と「態度非変容層」に着目してTVCMの出稿の是非を検討する点は興味深い」

受賞者のコメント

この度は栄えある賞を頂きましたこと、大変光栄に思います。ご指導いただきました諸先生方や周りの方々に心から感謝しております。今回の結果に慢心せず、意思決定に繋がる価値ある分析ができるよう、日々精進して参ります。

First Prize

優秀賞

  • テレビCMの出稿配分最適化

    同志社大学 文化情報学部 増田愛子

審査員コメント

「線形計画法用いた最適CM出稿配分までたどり着いていることと、それと現状との比較というところまで検討しているところが評価できる」

「膨大なデータを用いて、たくさんの製品カテゴリーに対する解析を行い、出稿配分計画を提示している意欲が評価できる」

受賞者のコメント

この度は優秀賞に選出していただき、大変光栄です。お忙しい中ご指導いただきました原教授、研究室のメンバーに感謝申し上げます。ありがとうございました。

Second Prize

佳作

  • エモーショナルマーケティングによる広告効果の分析

    一橋大学 商学部 小川遼人/高橋 優太郎/宋 賢智

審査員コメント

「効果の捉え方も分析方法もわかりやすい。感情訴求型の広告の効果について導出された結果も興味深い。できれば、感情訴求別(文字、音、韻)商品カテゴリー別に効果を捉えてほしい」

「シンプルだが本当にこの結果が出ているなら注目される分析結果」

受賞者のコメント

この度は佳作に選出いただき大変光栄に思います。これも苦楽を共にしたゼミ同期、お忙しい中ご指導くださいました大山教授のお蔭です。ありがとうございました。今回の経験を活かし精進してまいりたいと思います。

最終候補作品

  • 広告による商品情報の理解の購入意向への影響と理解を獲得させる広告表示についての分析

    同志社大学 文化情報学部 本村 成美

  • 傾向スコアを用いたクロスメディアの広告効果分析

    筑波大学大学院 システム情報工学研究科 高林 秀

  • 最適な視聴回数に基づいたテレビCM出稿計画の最適化

    同志社大学 文化情報学部 山野 楓花

  • 消費者の性格に応じたマーケティング手法の提案

    株式会社日立製作所 木村 竜矢

  • ターゲットに対して効果的な自動車CM出稿提案

    同志社大学 文化情報学部 早川 佳希

  • 肩こりに効く外皮用薬の販売戦略提案

    広島大学 経済学部 矢矧 笑里那

  • 忘却曲線モデリングの新提案とそれを用いた新商品に対する最適な広告タイミングの考察

    慶應義塾大学大学院 理工学研究科 茅根 脩司

  • テレビC M非接触者の特徴分析に基づくインターネット広告を用いた補完戦略

    同志社大学 文化情報学部 宮園 大生

  • 激動の時代における消費者の購買意向の変化要因に関する研究~潜在的因果モデルに基づくアプローチ~

    上智大学 理工学部 小熊 陵斗

  • 高血圧をターゲットにした健康食品市場

    秋田県立大学 システム科学技術学部 工藤 優之

  • センシティブな症状向けの医薬品により効果的な広告を

    一橋大学 商学部 五代儀 亮

  • サイコグラフィックとサブスクリプション―制御焦点尺度に焦点を当てて―

    福岡大学 商学部 太宰 潮

  • TV離れ層におけるCMの役割とその特徴に関する分析

    東北大学 経済学部 納家 享佑

  • 日焼け止めにおける選択段階に着目したTVCM効果

    関西大学 経済学部 鈴木 誠也

  • ビール系飲料におけるジャンル特性を考慮したCM施策の提案

    東京理科大学 工学部情報工学科 佐野 和幸

  • Uplift ModelingによるTVerに向けた広告戦略

    同志社大学 文化情報学部 西本 悠馬

  • データドリブンなプロモーション戦略の提案〜三ツ矢サイダーを事例として〜

    九州大学大学院 数理学府 永松 健一

  • テキストに着目したテレビCMの広告効果の要因分析

    同志社大学 文化情報学部 筒井 裕