Marketing Analysis Contest
マーケティング分析コンテスト
2013
審査結果・レポート公開中
実施レポート
マーケティング分析コンテスト2013 詳報
さまざまな視点から生活者の購買要因を掘り下げてデータを分析し、斬新なビジネスの法則や新しいマーケティング指標等の発見を競う「マーケティング分析コンテスト2013」の最終審査会が2013年12月17日、野村総合研究所本社にて開催された。7度目の開催となった今回は、レポートの提出数が過去最高となり、1点のクオリティも高く、予備審査を通過した19作品による激論の審査会となった。
第7回目を迎えた今回も例年どおりニュースリリースを中心とするプロモーションを実施した。仮エントリー、本申し込み、レポート提出数(応募数)ともに昨年を上回った。レポート提出は昨年の40作品を大きく上回る51作品となり、過去最大となった。
昨年より、この傾向は続いているが、今回も、マーケティングを専攻とする商学系や経営系の学部、研究科だけではなく、工学系や文学系の方々からの参加も多く、各方面からマーケティング領域のビックデータへの関心が伺えた。
さて、今回も例年どおり11月中旬から6人の審査員による予備審査が行われ、19組の作品が最終審査に進んだ。今回もすべての審査員が推薦する作品はなく、審査員それぞれが個々の視点によって判断いただいたようだ。
最終審査会では1作品ずつ丁寧に議論がなされ、分析結果が有益なもの、分析ロジックやプロセスの優れたもの、視点や仮説設定が斬新なもの、ビジネス実務への展開が可能なものなど、多面的な評価が行われた。予備審査の結果にとらわれず、意見を出し合い「そのような解釈もあるのか」と熱心に再検討いただく機会となった。
その後、最終投票がおこなわれた。今回も上位2作品で少し意見が割れたが、全員納得のもと、最優秀、優秀が確定した。しかしながら、最後の佳作の選出で甲乙が全くつけなれない状況となったが、最終的には事務局了承のもと、2作品選出ということで折り合いがついた。なお、今回初めて敢闘賞というものを選定した。賞金受賞とはいかないものの、大学3年生の作品としてはクオリティが高く、今回特別に選出した。
最優秀賞には、静岡大学工学研究科 准教授 朝日弓未氏による「ビールとプロモーション効果」が選出された。朝日氏は毎年レベルの高い作品を仕上げており、レベルの高い作品が寄せられる中で、ついに最優秀賞の受賞となった。データの見かた、外部情報の使い方もしっかりしており、分析も非常に的確かつ丁寧である。少し言い切りすぎか、という面もあるが、多面的な分析しており、主目的である「広告効果」をきちんと導き出そうとしている、とういことで、幅広い審査員の支持を得ていた。
優秀賞には、京都大学大学院経営管理教育部 修士2年 加藤翔太氏による「購入意向変化要因の分析 なぜ「買いたい」から「買いたくない」に変わるのか?」が選出された。分析としては、非常にオーソドックスではあるが、本データの特徴である、事前と事後の態度変容を活用した分析をしており、解釈にしても努力のあとが強く見られた。このような分析は、実際のビジネスの現場でも活用できる可能性が高いと判断された。
佳作には、2作品が選定された。一つ目は、大阪大学大学院 基礎工学研究科 修了 大木 基至氏による「FacebookとTwitterの利用者 に対する消費行動分析と それに基づく広告戦略の提案」が選出された。この作品は着眼点を評価する声が非常に多く、丁寧な分析とともに、導き出された結論についても、一定の評価が寄せられた。
二つ目は、東京工業大学大学院 社会理工学研究科 修士2年 田代このみ氏による「広告の過大評価と、 消費者の購入実態別に異なる 広告・メディア効果についての分析ー公営くじの場合ー」が選出された。最後の結論部分がやや強引であるものの、データを少しずつ工夫して料理しながら、的確な分析をしており、その点が選出の理由となった。
最後に敢闘賞であるが、中央大学商学部3年 佐藤雄一郎氏による「ハマりやすく冷めやすい消費者」が選出された。分析の視点として評価が高く、実務に繋げるような工夫に共感が集まったが、これを大学3年生がやったということに審査員方から高い評価が寄せられた。
審査会終了後、各審査員からは「今年も作品数が多く審査には本当に苦労した」との声が寄せられた。審査委員長からは「今年は過去最高の作品数であったが、巨大なデータの扱い方が比較的慣れてきたようで、全体的に作品のレベルが底上げされている。とはいえ、参加者の背景や専門により分析の仕方は異なっており、“なるほど”と唸らされる作品が多かった」ということで、総括した。
「マーケティング分析コンテスト2013」各賞受賞作品(敬称略)
Grand Prize
最優秀賞
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「ビールとプロモーション効果」
静岡大学工学研究科 准教授 朝日 弓未
審査員コメント
「ビールについて多角的分析が行われていて面白い。分析の切り口も明確で、適切な分析に基づいて結果が考察されている。」
「そこまで言い切れるのかという面もあるが、データをしっかりと確認し、外部の情報も活用しており一味ちがうレポートとなっている」
受賞者のコメント
さらに精進してまいります。
受賞作品ダウンロード 最優秀賞
First Prize
優秀賞
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「購入意向変化要因の分析 なぜ「買いたい」から「買いたくない」に変わるのか?」
京都大学 大学院 経営管理教育部 修士2年 加藤 翔太
審査員コメント
「購入意向と購買を結びつけている研究の中でシンプルな分析ではあるが、興味深い結果が導き出されている。また、先行研究の成果を結びつけて結果を解釈している点も良い。」
「メディアの影響と消費価値観をうまく組み合わせ、シングルソースの強みを活かして分析したことは評価できる。示唆がやや飛躍してはいるが、結論として一定の納得性はある」
受賞者のコメント
この度は素晴らしい賞にご選出頂き誠に有難うございます。論理展開、分析ともに甘さが目立つ内容ではありますが、評価して頂けたこと大変嬉しく思います。今後は分析を通じて身に付けた知見を実務に活かしていきたいと思います。
受賞作品ダウンロード 優秀賞
Second Prize
佳作
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「FacebookとTwitterの利用者 に対する消費行動分析と それに基づく広告戦略の提案」
大阪大学大学院 基礎工学研究科 修了 大木 基至
審査員コメント
「FacebookとTwitterのユーザー層の特徴を分析するという視点がユニーク。高度な分析というわけではないが、丹念に分析しレポートとして読みやすく、納得性がある」
受賞者のコメント
この度は素晴らしい賞にご選出頂き、誠にありがとうございます。チームで試行錯誤を行い,何度も何度も分析をやり直した結果だと実感しております。今回の受賞を励みに、今後も分析スキルの向上に一層勤しんでいきたいと思います。
受賞作品ダウンロード 佳作
Second Prize
佳作
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「広告の過大評価と、 消費者の購入実態別に異なる 広告・メディア効果についての分析ー公営くじの場合ー」
東京工業大学大学院 社会理工学研究科 修士2年 田代 このみ
審査員コメント
「結論の導き方がやや強引な部分はあるが、精緻に手堅く分析をしており、広告の過大評価を抽出するという視点は面白い」
受賞者のコメント
この度は素晴らしい賞にご選出頂きありがとうございます。普段目にすることのない貴重なデータを使わせて頂き、大変勉強になりました。今回の経験を活かし、今後も精進していきたいと思います。貴重な機会を頂きまして誠にありがとうございました。
受賞作品ダウンロード 佳作
Three Prize
敢闘賞(特別選出)
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「ハマりやすく冷めやすい消費者」
中央大学 商学部3年 佐藤 雄一郎
審査員コメント
「ハマリやすく冷めやすい消費者という分析の視点が、所謂ロイヤルカスタマーという軸だけでなく面白い。定義の仕方も納得できるし、その特徴も良く抽出できている。」
受賞者のコメント
学部生という立場ながら敢闘賞をいただくことができ、恐縮するとともに大変光栄に感じております。短い機関の研究で不十分な点が多々ありますが、この結果は熊倉先生のご指導の賜物であったと思います。ありがとうございました。
受賞作品ダウンロード 佳作
最終候補作品
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「AISASプロセスを考慮したCGMが 消費者の購買態度に与える影響の分析」
筑波大学 理工学群社会工学類 4年 野上 光
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「事例ベースの意思決定理論(CBDT)のマーケティングへの応用」
慶応義塾大学大学院 商学研究科 博士1年 郷 香野子
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「宝くじにおける 広告効果と消費者に関する研究」
慶應義塾大学 理工学部 4年 金子 梨香
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「機能系ビール飲料市場における消費者の行動 ~肥満関連症状自覚者を中心に~」
フジ印刷株式会社 R&Dグループ ユニットリーダー 水口 実
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「共分散構造分析を用いた旅行市場における行動要因分析-人を動かすのは広告か報道か-」
静岡大学大学院 情報学研究科 原野 朱加
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「広告接触による消費者行動変化~デモグラフィック分割による分析~」
北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 修士1年 高橋 柊
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「ライバル広告がもたらすアシスト効果」
慶應義塾大学 商学研究科 修士1年 竹内 亮介
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「不合理な消費行動」
福岡大学 商学部商学科 4年 廣瀬 大樹
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「購買を冷やすアイス(AISS)商品を見つけ出せ-消費者のWebアクセスデータを用いたAISASモデルの研究-」
慶應義塾大学 経済学部 赤路 雄一
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「認知的不協和の解消行動と 矛盾行動を取る消費者とは~症状自覚と消費行動の関係~」
福岡大学 商学部 准教授 太宰 潮
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「遺伝子発現解析手法を用いた プロダクトーム分析」
名古屋大学大学院 環境学研究科 博士前期課程2年 二階堂 暢晃
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「テレビCMの影響による ビールの購入実態変化」
筑波大学大学院 システム情報工学研究科社会システム工学専攻 博士前期課程1年 高野 悠司
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「広告配信メディアを選ぶための 対話型マイニング響」
大妻女子大学 社会情報学部 4年生 鈴木 彩
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「財布のひもを緩める広告・商品」
立教大学 経営学部 3年 山口 修平
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「すてき女子vsおっさん女子による消費行動の検討」
甲南女子大学 人間科学部 3年 加藤 眞帆