2020年4月30日
コロナ禍の中、変わる働き方改革!
企業のテレワーク利用は中小企業においても拡大
安部首相の要請により3月2日から全国で休校が始まったことを受け、急遽子供たちが自宅で過ごすことが決まりました。このことがきっかけとなり、テレワークに踏み切った企業・従業員も多いと思います。また4月に緊急事態宣言が発令されたことで、さらにテレワークへの移行が加速しているものと思われます。
新型コロナウイルス感染拡大以前から勤務先にテレワーク制度があり、実際にテレワークを利用できた人は全体平均では14%ほどであり、従業員規模別にみると、従業員規模の大きい大企業ほどテレワークを導入されていました。ただし、従業員数1000人以上の大企業であっても、テレワークを利用できたのは25%に留まっていたようです。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、多くの企業にてテレワーク制度が拡充されています。テレワーク制度の新設や対象者拡大等の制度変更によって自分がテレワークを利用できる対象者になったのは全体で26%増加し、40%がテレワーク利用可能となりました。従業員規模別にみると、従業員数「1000人以上」の大企業よりも「30人~100人未満」や「100人~300人未満」、「500人~1000人未満」の中小企業においても、大企業並みにテレワーク対象者が拡大されており、テレワークを利用できるようになった人の割合が高いことがわかります。
新型コロナウィルス感染拡大以後における、勤務先のテレワーク利用の有無(従業員規模別)
※就業者(2543人)のみ聴取
平常時でも継続したテレワーク利用が望まれている
テレワーク導入による業務への支障感については、全体平均では6割以上の人が支障を感じたと回答しています。ただし、元々テレワークを利用できた人は、今回のテレワーク制度拡充によって初めてテレワークを利用した人よりも業務の支障感が少ない傾向があります。業務への支障感は、ある程度はテレワーク導入し始めの慣れの問題でもあるともいえます。
テレワーク導入による業務への支障感の有無
※新型コロナウイルス感染拡大後にテレワークを実施した人(1021人)のみ聴取
また、テレワークに対する続利用意向については、59%の人が「平常時でもテレワークを取り入れた働き方をしたい」と回答しており、従業員側の意識として継続してテレワークを受け入れられる態勢になっていることが伺えます。
テレワーク継続利用意向
※新型コロナウイルス感染拡大後にテレワークを実施した人(1021人)のみ聴取
調査結果からは、テレワークが急速に広がり、慣れの問題から業務に対する支障を感じる人もいますが、多くの人は平常時でもテレワークを継続利用したいとマインドが変化しています。一方で、テレワーク対象者が拡大されているものの、従業員数30人未満の企業を中心に、まだテレワーク対象でない人が7割以上存在します。社内制度やICT環境が対応しきれておらず、テレワークをしたくてもできない従業員も多く、企業にはなお一層の制度・環境の整備が求められることでしょう。
積極的なテレワーク導入により、新型コロナへの不安からの解放、さらには今後の従業員の働き方改革につなげよ
新型コロナウイルスに対して不安感を感じる人は当然多いですが、実はテレワークによって業務に支障があると強く感じた人ほど、新型コロナウイルスに対する不安感も高いようです。逆に、テレワークに慣れ、通常と同じように業務ができることにより、出社の必要性が無くなることで、新型コロナウイルス感染への不安感から少しでも解放されるのでしょう。
新型コロナウイルス感染に対する不安感(テレワーク実施者の業務支障感別)
※新型コロナウイルス感染拡大後にテレワークを実施した人(1021人)のみ聴取
テレワークの導入は最初こそ抵抗感や業務への支障感はあるものの、慣れてくるとコミュニケーションを含めた様々な課題は解消され、常時テレワークを利用したいと思う従業員側の意識の変化は早いものです。新型コロナウイルスの感染拡大は消費者の生活に大きなダメージを与えましたが、コロナ禍を契機としたテレワークの急速な促進により、今後の日本の雇用や働き方が劇的に変わることが期待されます。
出典)野村総合研究所 2020年4-5月期シングルソースデータ(関東エリア 20-69歳、就業者:N=2543)
(林 裕之)