2018年9月11日

スポーツにタイブレークや時間制限は必要か

タイブレークの認知率は約6割

この夏は、ワールドカップサッカーでの日本の躍進から始まり、高校野球での大阪桐蔭の連覇や吉田投手の熱投、アジア競技大会での日本選手のメダルラッシュ、全米オープンテニスでの大坂選手の優勝など、スポーツに関する話題が盛りだくさんでしたね。ということで、今回はスポーツの勝敗について考えてみました。

まず、今年の夏の甲子園(高校野球)大会において始めて実践された、"野球におけるタイブレーク"について、浸透度合いを調査してみました。

野球におけるタイブレークの認知率

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野球におけるタイブレークとは、試合の決着を早くつけるため、あるイニングまで同点であった場合、得点の入りやすい環境を作ってから勝負をするものです。今回の甲子園では、延長13回から、無死一、二塁からスタートします。今回、2試合が該当となり、うち1試合は13回(2時間55分)に、もう1試合は14回(3時間7分)で、決着がつきました。平均的に1試合2時間程度が多いなか、13回まで進めばこのくらいの時間になってしまいます。この夏の炎天下での試合となりますと選手も応援も大変ですから、導入の意義はあったのかもしれません。

では、こちらを性年代で比較してみます。

野球におけるタイブレークの認知率(性別、年代別)

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想定の範囲内ですが、女性より男性の認知が高く、年代も上になるほど、認知率が高くなります。ただ、一般的には、まだまだ浸透途上といったところでしょうか。

消費に対する先進層ほど、認知率も高い

では、タイブレークの浸透状況を"消費行動傾向"とクロス集計してみました。NRIでは、これらの調査と同時に、商品やサービスを購入/利用する際の行動傾向を調査しており、この結果から生活者を4つの分類にわけ、集計することができるのです。

野球におけるタイブレークの認知率(消費行動傾向別)

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すると、浸透度はきれいに、先進層>追従層>大衆層>無関心層 となっています。消費行動傾向とタイブレークの認知は直接的には関係がないように思えますが、人よりも先に新しい商品やサービスを利用したりする方ほど、様々な情報にアンテナを高く張っている、ということの表れなのでしょう。

7、8割の方が、タイブレークは実施すべきと回答

話が少しずれてしまいましたが、それではタイブレークの話に戻します。現在、野球と同様に、試合が長くなりすぎるのを押さえるため、サッカーやテニスでも同じようなルールが利用されています。これらに対し、みなさんはどのように考えているのでしょうか。

タイブレークを導入すべきか

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当該スポーツを知っている人に限って集計したところ、実施すべき+実施もやむを得ない、を含めると野球は約7割。サッカー、テニスでは8割の方がこのルールに対し賛成のようです。同じ流れで決着をつけて欲しいと思う一方、あまりにも時間がかかることについては、選手への負担などを考え、無理すべきではないという方が多いようですね。

スポーツの時間制限については、、、意見は半々

では、決着のひとつとして、タイブレークのようなルールではなく、そもそも時間制限のようなものを設けたらどうか、ということについても調べてみましょう。

時間制限のないスポーツというのは、比較的少数派で、主なものとしては、野球(ソフトボール)、テニス、ゴルフ、バトミントン、バレーボール、卓球あたりがその対象となります。これらのスポーツ別について、時間制限を導入すべきか集計してみますと、

スポーツに時間制限をすべきか(種目別)

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スポーツによって、多少の違いがあるものの、約半数の方が時間制限もやむを得ない、と考えているようです。意外ではありませんか?なお、これらはいわゆる、"テレビ局泣かせ"といわれわるスポーツなのです。いつ始まるか、終るかがはっきりしないため、番組表が作りにくく、スポンサーとの調整がし難いのです。もし時間がきっちり決まっていれば、テレビとしては放送しやすくなりますが、スポーツそのものの戦略も変えなくてはいけなくなるでしょう。やはり、スポーツの醍醐味を最大限味わうには、放送と通信を融合した"新しい中継制度"が必要なのかもしれません。

出典)野村総合研究所 2018年7-8月期シングルソースデータ(関東エリア 20-59歳:N=2,157)(松本 崇雄)