2021年1月 5日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
コロナ第3波で定着する「検温」、高齢層では「オンライン飲み会」も
学生、会社員、派遣社員を中心に、この半年で毎日検温をする層が過半数に拡大
2020年が明けるとともに始まったコロナ禍。日本人の生活がコロナ以前に戻る気配はまだないが、一方で新しい生活様式が固まってきている。コロナの影響により変化した生活様式などについて、2020年5月の緊急事態宣言解除直後と、2020年12月に再度聴取した結果を比較してみよう。それぞれの時点で、実際に実施している割合(行動実施率)と、半年後にも継続していると思う割合(半年後継続率)を調査した。
手洗などの基本的な衛生行動は8割以上の人が一貫して実施している。また、この半年で毎日検温する割合が55.2%まで増加したことがわかった。
毎日検温している割合の増加幅が大きかった属性としては、大学生(31.2%⇒67.6%)、会社員(34.5%⇒52.5%)、派遣社員(51.5%⇒65.9%)などであった。対面授業再開、出社再開に加え、50%以上が製造・運搬・販売などのテレワークの困難な業務に従事している※派遣社員などで人との接触を伴う生活が戻ってきていることが伺える。
※出所)一般社団法人日本人材派遣協会調べ(2019)
今後も継続するテレワーク、50代以上で定着するオンライン飲み会
これらの行動は今後どれだけ続くのか。多くの行動において、半年後も続けていると回答した割合は7~8割となっている。「テレワーク」はこの半年で完全に定着し、半年後継続率は、前回の53%から76%まで高まった。会社役員、会社員、パート・バイトなど、労使双方の層で約8割が継続を見込んでいるため今後も続く公算が高い。
今後も続くと回答した割合が最も低かったのは「オンライン飲み会」だ。ただし、5月の時と比べると、12月における半年後継続率の水準は大幅に高まっており、定着しつつあると言える。年代ごとに見ると、半年後継続率は、60代男性(26.3%⇒50.0%)、50代女性(35.3%⇒56.7%)と高年齢層で大きく伸び、5月には水をあけられていた若年層と同水準に達した。また実施率で見た場合も、30代以下は5月に比べて平均8pt減少しているが、40代以上では実施率はほぼ変わらなかった。
新型コロナは年齢層が高いほど重症化リスクも高まる。50~60代のオンライン飲み会実施率は8.3%と高くはないが、実施している層にとってはリスクを避けて人と交流する手段として定着し始めているとみられる。
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースパネルデータ
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 杉浦萌子