2021年1月25日 最新データから読み解く「NRIマーケティングレポート」
コロナで変化し続ける家庭料理、今後は飽きない・ヘルシーが重要
コロナ期に料理頻度が増えた人は15%、2回目の緊急事態宣言でさらに増える見込み
2021年1月7日に、1都3県を対象に2回目の緊急事態宣言が発令された。宣言には、飲食店の時短営業要請も含まれており、生活者の外食頻度がこれまで以上に減ることが予想されている。本レポートでは、宣言発令直後の1月9日に、自宅での料理に関してアンケートした結果を紹介する。
コロナウイルス感染拡大前と現在の料理頻度について聞いたところ、15%の人で料理頻度の増加が見られた。
中でも、もともと料理頻度が少なかった20-30代では21%の人で増加が見られており、巣ごもり生活において新たに料理にチャンレンジする人が出現したことがわかる。
また、今後料理頻度を増やしたいかを聞いたところ、合計37%が「ぜひ増やしたい」「どちらかといえば増やしたい」と回答しており、自宅での料理は今後も増える可能性が高い。継続的に自宅での料理が増える中で、生活者は、何を重視して料理をしているのだろうか。
今までは料理自体を楽しむことや手間軽減、今後は飽きない工夫・ヘルシーさが重要に
図表 料理における重視点
図表は、料理における重視点を①現在重視していること ②コロナ期に重視度が増えたこと ③今後重視したいこと の3つに分けて聞いた結果である。
①と②を比べてみると、「普段作らない料理にも挑戦」「家族と一緒に作る」といった外出できない中で料理を楽しむことや、「冷凍/インスタント食品の活用」「少ない品目で済ませる」など手間を軽減することがコロナ期に高くなったことがわかる。今までは、自粛生活で楽しみが減る中でおうち時間を充実させることが重視されてきたともいえる。
一方、①と③を比べてみると、「飽きの来ない味付け」「定番レシピをアレンジ」「凝った料理」などの飽きない工夫や「カロリー・塩分を抑える」「品数を増やす」といった健康的な食生活につながる項目が今後の重視点で高くなっていることがわかる。コロナの感染拡大が長期化する中で、マンネリ感を持たないようにすることや、自粛生活における運動不足でも太らないようにしたり、コロナに対抗する免疫力を付けるために、このような変化が起きていると思われる。
コロナの流行により家庭での料理事情は激変した。単なる余暇時間の穴埋めではない変化も出てきている。食品業界では、コロナが長期化する中での
消費意識の変化に着目した戦略が重要といえるだろう。
出所)NRI インサイトシグナル シングルソースデータ(2021年1月9日、関東男女20-60代、N=3,182)
NRI マーケティングサイエンスコンサルティング部 中田壮星